タブーをクリア「狐狼の血」アジアの勢いに触れた「恋の病」「共謀家族」「ドライブ・マイ・カー」*2021年8月に観た映画

8月は死者を悼むとき

今年もホロコーストものが3本公開になりました

「アウシュビッツ・レポート」「ホロコーストの罪人」「復讐者たち」

これまでは見なくちゃ!と

何かよくわからないパワーに押されて観てましたが

今年はどうも観る気になれず…これらの1本も観ず

今の状況を考えるとヘヴィなものは欲しないのは当然か・・・

今月は以下の映画を観ました

イギリス・インド・台湾・日本・ハリウッド etc…

どこにも行けない分、こころの旅かな

  • スーパノヴァ
  • ジャッリカットゥ 牛の怒り
  • ソウルメイト 七月と安生
  • キネマの神様
  • ザ・プレイヤー
  • ジュゼップ 戦場の画家
  • アメリカン・ユートピア
  • ドライブ・マイ・カー
  • 恋の病 潔癖なふたりのビフォー・アフター
  • 狐狼の血
  • 共謀家族

スーパーノヴァ

どういう意味なんやろ?と思い調べてみた

「超新星」「新星(nova)より大規模な激変星」

天文学用語らしい

ふたりで星を見上げるシーンや

姪っ子とタスカーが星を見ながらお喋りするシーンが

ホンマええわーー

コリン・ファースとスタンリー・トゥッチは

20年来の友人なんやって

だからこその演技なんかな

イギリスの湖水地方が舞台

(これが噂の…湖水地方かぁ、映画でお楽しみ下さい)

コリンは「英国王のスピーチ」

スタンリー、わたしはこれ

ゲイカップルの話が続いている(わたしの映画鑑賞の上で)

こんなにも自然でこんなにもフツーに周りに受け入れられている

それが「イギリスってそうなんや」と思わせるけど

きっと、ちがうんやろなー(笑)

苦しみ抜いたふたりが出した答えは

タスカーの意思を尊重したあのかたちなんやろな

よく決心できたな、サム えらいと思う

カップルは男女でなくても

見た目は男同士 ふたりの間に愛情があって

仲良くしてるってホンマに美しいな

お互いがお互いを思い合った結果について

わたしは他人がとやかく言う事ちゃう、と思う

スーパーノヴァ 公式サイ

ジャッリカットゥ 牛の怒り

何なんや!このテンション

観客に媚びない圧倒的な「やりたいようにやってやる」感(笑)

何かで「徒歩版『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と聞いて

是非観たいと思った

ストーリがあるのかないのか(笑)

とにかく人々のテンションがあまりに高すぎて

インドらしく千人規模で人間が走りまくり

なんか知らんけど、こっちまでやたら元気に(笑)

ケーララ州が舞台らしいのだが他の州に比べて

イスラム教徒とキリスト教徒の割合が多いらしく

肉食に抵抗がない地域だとか

水牛の美味しさがやたら語られる

そのお肉が人々を狂わせるが

終わりがまたぶっちぎっていて潔すぎる幕切れ(笑)

あなたもこのクレイジーな世界へどうぞ

ジャッリカットゥ 牛の怒り 公式サイト

ソウルメイト 七月と安生

久々、中国映画

「ソウルメイト」という言葉が気になって予告編を見た

あぁ、これは観なくちゃ…と思った

女同士の友情はちょっと複雑だったりする

彼女たちは同じ人を好きになるってとこが落とし穴

でも彼を抜きにしても特別な友達・・・

憎んだけど、それ以上に相手の存在に憧れた

ふたりは恋にも悩んだけど、生き方にも悩んだん

心のまま生きる安生とやりたい事が見つからない七月

自分にないものを相手が持ってる

そこに憧れ時に嫉妬し、「彼」を巡ってぶつかり合う

あれは本音であって本音でないと思うねん(観た人にはこのニュアンス伝わるはず)

結局「彼」と七月は結ばれず、安生とも一緒にならず

彼も苦悩しただろうが、どちらかと結ばれたからと言って

同じように苦悩したやろうなー

ちょっと離れていて相手の変化について行けない・・・

こんな経験は誰にでもあるやろ

だからといって相手を否定するワケでもないが

そこで失敗するのが「若さ」なのかな

安生役のチョウ・ドンユイは「少年の君」でもクローズアップされているが

わたしはコレで彼女を知った

これ、泣けたなー

チョウ・ドンユイも良かったけど

マー・スーチュンも素晴らしかった

長い髪もショートも似合ってて生き方に悩み

彼の気持ちが安生にある事を見抜き、世界へ旅立つ七月を

いきいきと演じてたー

ソウルメイト 七月と安生 公式サイト

(俳優さんやスタッフの紹介などがない雑な感じの公式サイトでがっかり💧)

 キネマの神様

寅さんの山田洋次監督89歳!

松竹は大々的にこの作品を”推し”ている

この映画を観ようと決めたのはラジオだった

ラジオのおかげで原作者 原田マハさん登場シーン

しっかり観られました(ほんの一瞬)

ただ、片桐はいりさんが見えるように読んでおられた本

チェックできひんかったー(残念)

ラジオのホスト役の松尾貴史さんもこの映画では

ゴウの初監督作の撮影監督役

このお三方の山田組の話をたくさん聞いて準備OK

山田洋次監督作って、正直なところ ちょっと今の時代とズレている

(89歳です!)

でもね、お盆だったせいもあるけど満席やった

舞台のように「お芝居してます」感ありありの俳優陣

あれは、「わざと」なんやと思う(ええとは思わんけど)

でもね、全編観たら「人間ってええな、生きてるってええな」と

思わされるのが山田作品なんやと思ふ

コロナ禍での世の中の激変や映画館の大変さにも触れ

沢田研二という大スターが「ゴウちゃん」でしか見えなかった

そしてゴウを演じるはずだった志村けんさんへのオマージュ

人生って、ホンマに思うように行かないもの

これでいいと思っている訳ではないけど

あの時から、ずっとうまく行かないって事はよくあるような…

愛する人と結ばれたからと言って

その後の人生が幸せで平穏であるとは限らない

でも、取り立てて「不幸」だった訳でもない

テラシンの若い頃役でRADWIMPSの野田洋次郎さんが出演

1960年台の映写技師役、ゴウを理解し才能を見抜く友達なんやけど

わたしは初めて野田くんを見て、まさかミュージシャンとは思えなかった

この記事を読んで彼のファンになった

(エンディングロールで流れる「うたかた歌」はRADWIMPS feat.菅田将暉)

映画を愛する人がたくさん出ていて

そこかしこにユーモアが転がってて何度か涙を拭った

こころに残ったセリフ

「私はゴウちゃんに幸せにしてもらおうなんて思ってない。

私がゴウちゃんを幸せにしてあげるの。」

キネマの神様 公式サイト

マハさんの作品にはハズレがない

そして映画は原作とのちがいを楽しめる

今回の映画のディレクターズ・カット版

 ザ・プレイヤー

90年代のハリウッドを皮肉る内側暴露的な映画

なんと「ショーシャンクの空に」のティム・ロビンス主演

Playerはティム演じるグリフィンのことかな

映画をつくる熱気、と言うよりは

名作のパート2、とか 〇〇と△△をくっつけた様な、とか

えらい安易・・・な脚本売り込み合戦を白けて聞いている会社側

といったムード

こんな脚本家や会社では

人々を夢中にさせ胸躍らせるような映画は

絶対生まれへんやろなーと感じる

わたしはウーピー・ゴールドバーグやスーザン・サランドラン

ジュリア・ロバーツ、ブルース・ウィルス、シェール

ぐらいしかわからんかったけど、60人以上の映画スターが実名登場してるらしい

(名前は分からなくてもお顔は知ってる人は多数)

ハリウッドがこんな時もあったんやろな

今はちがうやろなーと思う

自分が映画館で映画を観ていて

ちょっとしたアイディアを膨らませて肉付けして

実際演じて、どんどん素晴らしいものになってゆくのが映画やろうし

ま、こんな感じで撮ってもお客に観てもらえる映画にはならんわな

ラストが

適当に作った映画のラストと同じセリフで終わり

ワルがバレずにハッピーエンドってとこが強烈に皮肉

ティム・ロビンスがはまり役

ザ・プレイヤー どなたかのブログ

この全身黒づくめで柄物のネクタイ姿が

ティム・ロビンスに一番似合ってた

 ジュゼップ 戦場の画家

フランス・スペインのアニメーション

また歴史をひとつ勉強した

スペイン フランコの軍事独裁政権の元

たくさんの人がフランスに逃れた

ひたすら地面や壁に絵を描くジュゼップ

彼は人間性を失わずにいた

スクリーンに彼が描いた精密な絵が何度となく出てくる

その絵を見ていると

彼の悔しさや悲しみややり切れなさが感じられ

彼の叫びであり、歴史的事実の証言やんか

親友や婚約者を失っても

彼はなんとか生き延びてメキシコに亡命

恋に落ちた同じアーティスト フリーダ・カーロに

色を使って作品を描けと言われる

彼女は見抜いたんやな

彼の絵は

まだ表現したい事を消化できず自分のドアを開け切っていないと

ジュゼップの友達になったフランス人憲兵は

罰せられなかったのか?とか

婚約者の行方は?とか

細かいところはぼんやりしたままだったけど

最後がとてもお洒落で泣かせる

戦争は遠い過去の話になった

それはとても素晴らしい事だけど

どんな事があったのか、可能なら語り伝えて欲しいと思う

事実を知った彼のとった行動は

ジュゼップも彼の絵を愛する人たちも

みんな喜んだと思う

ジュゼップ 戦場の画家 公式サイト

アメリカン・ユートピア

2回目!

音楽、演奏はホンマに素晴らしくノれるのだが

歌詞が何を意図しているのか

わからん自分に残念や・・・

ディビット自身が移民である事

バンドメンバーも肌の色もジェンダーも出身もそれぞれ

選挙に行こうという呼びかけも

「音楽に政治を持ち込むな」という意見がある

国が安定していないと音楽どころではない

過去に国家がこのような文化こそ望ましいと押し付けた国々は

尽く国民から総スカンを喰らった

・・・無関係ではないのだ

自由がなければ

好きな音楽を楽しむ事すらできない事を知らないわたしたち

は、ある意味幸せとも言えるが

このショーを観たら

世の中で起きている事や政治が無関係では生きてゆけないとわかるやろ

ラスト近くのコーラスのみでの「One Fine Day」の素晴らしさ

こんな大スターが自転車で劇場から帰ってゆく

バンドメンバーとNYを自転車で行くディビット

こういうところにも彼の”在り方”を感じた

アメリカン・ユートピア 公式サイト

香山リカ氏のこの記事はこの映画についても触れられていて

いろんな意味で参考になりました

このサントラは欲しい〜

アンコールで歌われた「Road to Nowhere」が収録されてる

トーキング・ヘッズのアルバム

この曲の歌詞もこのショーと噛み合ってる

 ドライブ・マイ・カー

家に帰ったら、遠いところへ行って帰ってきた感じがした

物語の中に入り込む、というよりは

家福とみさきのドライブに並走し彼らを見てた感じ

劇中で舞台劇の稽古〜本番が同時進行する

その時その時のチェーホフの台本のセリフが

この物語にぴたりとハマる

無表情なみさきも不気味で

妻の裏切りをスルーし

抱き合っていてもどこか遠くを見ている家福も引っかかった

ふたりがサーブのルーフトップから

タバコを持つ手を出すシーンがなんとも良く

無口なみさきと自分の本心から目を背ける家福の静かな安らぎ

ふたりにはこれくらいが心地良かったんやろな

みさきは自分に向き合い、そこから動けなくなっていたんやな

本当の気持ちを認識する→受け入れる→次へ進む

多分、こういうプロセスを辿るんやろうけど

家服は最初の1歩の段階

主要キャスト以外もこころに残る役者さんばかりで

韓国人夫婦のおふたりも公演担当の小柄な女性

(「トキワ荘の青春」に出演してはったと記憶)も

とてもお芝居とは思えなかった

ドライブ・マイ・カー 公式サイト

濱口竜介監督はこれを観て知った

演技未経験の4人の女性を主人公に世界的に評価を受けた「ハッピー・アワー」

恋の病 潔癖なふたりのビフォーアフター

このポスターを見てて、まぁ観ぃひんわなと思ってた

予告編を見て絶対観たくなった

とってもスタイリッシュで

最初は正方形?のスクリーン

いつの間にか横長のいつものスクリーンサイズ

最初は変な女の子だけど

ずっと観てるとえらいべっぴんやんか!のヒロイン

そして「潔癖」がテーマに来てるけど

これカップルが冷めたり揉めたりする”あるある”もの

最後にある「愛があるうちは相手の欠点は愛しいが…」

あれも「そうやねん!」とみんな膝を打ちまくってるんちゃうか

ずっと同じではいられない、ってのは残酷やけどそやねん

相手が変わったように思うけど自分も変わったんや

広い世界を見渡せば

素敵な人や出来事はたくさんある

相手が変わった事が寂しいのではなく

変われない自分がかなしいのやと思った

ボーチンは「治りたい」と思ってた ジンはアレルギーだから仕方がないと思ってたのかな

かなしいけれど、どうしようもない

恋愛の真髄を思いっきり突いた映画

すげーな 台湾映画

恋の病 潔癖なふたりのビフォーアフター 公式サイト

(予告編と一緒にある「駐車」是非見て 笑える)

 狐狼の血

お金を払ってヤクザ映画を観るとは(笑)

一線超えたな(笑)

現在「狐狼の血 LEVEL2」公開中で

全く知らなかったんやけど

このラジオを聞いて観たくなった

そしたらアップリンクで「東映アウトロー映画特集 広島篇」が始まり

LEVEL2の前作を上映と知り、いそいそと観に行った

役所広司、松坂桃李、江口洋介、石橋蓮司、竹野内豊、真木ようこなどなど

大物魅力的キャスト!

あらためて、役所さんはすごい・・・

ま、ヤクザ映画なので品はない(笑)

初っ端から指を挟みで落とされる

残酷な拷問、取り調べ、暴力シーン連発

手で目を覆うシーン多し

でもね、「あ、やばい」ってところは

映像で見せず想像させるって所も多かった

そして単純に暴れて殺し合ってるのではなく

警察なのにヤクザを利用したりコントロールしたり

馴れ合ってるように見せかけて頭を使ってる危ない刑事・大神(これが役所さん)

そして彼がいなくなった後

大神がいかにこころがある人なのか、描かれる

複雑な人間の裏表があちこちに散らばり

この原作が女性って事にびっくりした

狐狼の血 公式サイト

Blu-rayがついに発売

原作是非読んでみたい

(前に柚月さんの小説読んでイマイチやったけど)

2作目 今回の映画は2と3の間を描いた原作にないストーリー

この3冊が「狐狼の血」シリーズらしい

白石監督は松坂桃李くんの30代をこの「狐狼シリーズで撮りたい」と

共 謀 家 族

懐かしいタイの街が舞台(以前チェンマイに1週間滞在した)

タイに暮らす中国人家族

マレーシア人監督による実に「アジア」な映画

雨粒やものの動きをゆっくり見せたり

スピーディに流れるように見せたり

見下ろしたり見上げたり

映像の美しさやスピード調節、動きのあるカメラワークが印象的やった

「完全犯罪もの」という触れ込みやったけど

主人公家族は基本的に善人

いろんな悪人が出てくる

警察官なのに暴力は振るう、裏金を要求する

証拠をでっち上げる・・・

高校生が人に飲酒を強要する

飲酒させレイプする、映像に残し相手を脅す・・・

でも、「ワルモノを退治する」映画ちゃうねんな

誰もが善も悪も持ってる 人の見方捉え方もいろいろ

善悪では測れないものが世の中たくさんあるね

お宅どう思います?っていう映画やと思う

最後の持って行き方が秀逸で

この事件をどう思うか、街の人のインタビューが素晴らしかった

共謀家族 公式サイト

アジアの勢いを感じる8月やったかも

台湾映画は先月の「親愛なるものへ」と今月の「恋の病

見逃したけど観たかった「1秒先の彼女」と

いい作品が目白押し

ソウルメイト 七月と安生

ドライブ・マイ・カー

共謀家族

どれも見応えありすぎました

ブロードウェイ気分を味わいたいなら

アメリカン・ユートピア

(ぜひディビットのメッセージも受け止めて)

寅さんファンなら

キネマの神さま

個人的に思い込みをひとつ乗り越えたのが

狐狼の血」ヤクザ映画は除外ぐらいに思ってたけど

紹介したラジオで「仁義なき戦い」を知って

(タイトルぐらいしか知らんかった)

丁度、今 「仁義なき戦い」を映画館でやっているので

腹を括って観に行こうと思ってます

タブーが1個なくなったかな

(「狐狼の血 LEVEL2」も観に行きます)

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