2021年も終わりの月!?
あっさり時間は過ぎますが、なんて早いのでしょ
先日、韓国にいる是枝監督が出演されたネット音声を聞いて
韓国の俳優さんで撮った映画の編集中だそう
アップリンクで予告編を見ていたら
入江悠監督の「聖地X」が流れて
オール韓国ロケ、韓国と日本の俳優をミックスして起用していた
他にも、石井裕也監督の「アジアの天使」
これも韓国ロケ、日本と韓国の俳優で…だった
日本で映画を撮るのは大変だと聞いた(制約が多すぎるらしい)
韓国は撮りやすいのだろうか
映画ファンとしては世界のどこでも構わない
才能ある監督さんは存分に力を発揮し楽しませてもらいたい
今月は以下
- 最後の決闘裁判
- 悪なき殺人
- Don’t look up
- クローズ・アップ
- GUNDA
- MINAMATA -ミナマタ-
- 偶然と想像
- パワー・オブ・ザ・ドック
- 雨とあなたの物語
最後の決闘裁判
3部構成になっていて
ジャン、ル・グリ、マルグリットそれぞれの視点から
同じ話の流れながら全然解釈や感情がちがう見せ方になっていた
1380年前後なので完全な男性優位社会
それを置いといても
男性とはなんて勝手で独りよがりなんやろと呆れる
3部は少しずつ違いがあるものの、同じシーンが繰り返される
その3つが3つとも微妙にちがうのは違う人間だからなんだろうが
マルグリットの部は「真実」と字幕に出る
ワタシが女性だから、そう感じるのかもしれないが
マルグリットから見た夫や夫の友人は
そもそも彼女を同じ人間として見ておらず
”自分に都合の良い女性”と見ている事がアリアリ
おまけに法廷ではマルグリットに対して
正気ですか?と思えるような失礼な質問がいくつも男の口から出て
涙を堪える彼女の絶望的な立場が見るに耐えなかった
しかも「女の敵は女」というやつで
友達や義母も真実を語る彼女を追い込むような発言や
恥だなんだと責め立てたりする
法廷などお飾りでしかなく
決闘で事の真実を決めるという愚の骨頂
しかし当時の甲冑を身につけたアダム・ドライバーとマット・デイモンの決闘は
物凄い迫力だった
ラストのマルグリットの笑顔がすうっと真顔になるのは
我が子(男の子)が自分勝手で愚かなあんな男たちのようになるのかと
ゾッとしているのではないだろうか
1380年台の話とは言え「今」撮られ公開される訳がうなづける
女性の権利は向上したけれど
実際のところは対して進歩していない事を
描いているように感じた
悪なき殺人
なぜ人を殺したのか?
誰が殺人犯なのか?
そういう話ではない、ところが良くて
目に見えないところで
うまく?つながる事実に驚愕し
誰かといても1人でも、みんな孤独で愛が欲しいというところに
すとんと落ち着く
目の前にいる人、では満たされなくなって
ちがう人に関心が向いたり
出会った人と思いがけない程ぴったりな事を見つけたり
人間とは本当に不思議で厄介なもの
もちろんワタシもそのひとり
フランスの田舎、コートジボワール
かなりの距離がつながってしまう現代
コピーは「人間は、『偶然』には勝てないー」
主な登場人物の部分部分にワタシがいて
映画が「偶然」としているものは
実は「神様の采配」みたいなものや
エヴリーヌの成熟した大人の女性の魅力
若いマリオンの抜けるような白い肌
「ジュリアン」でも狂気を感じたミシェル役のドゥニ
ストーリーだけでなく出演者たちのお芝居が素晴らしい
Don’t look up
いや、これは痛烈な現代批判やナ
彗星が地球に衝突、というのは比喩で
温暖化や戦争、様々な危機を指しているように感じた
科学を無視して、なぜかITのカリスマ経営者の話を鵜呑みにするなんて
今の日本もこうやなー
支持率や次回の選挙しか頭にないトランプを思わせる大統領を
メリル・ストリープがノリノリで演じている
ディカプリオが”いいおじさん”になっていて
気弱でプレッシャーに弱い天文学者役はちと切ないが
さすがの貫禄でこなしている
他にもケイト・ブランシェット、ティモシー・シャラメくんとか
アリアナ・グランデとか(ワタシが知ってる人だけあげたけど
もっと有名どころが出ています)
監督は「バイス」のアダム・マッケイ
オープニングに出演者の名前が紹介される感じが
アメリカのドラマを見てるみたいで
スタイリッシュ!
一体このとてつもないストーリーの落とし前は
どうつけるのか?心配になる程、現実にありうる話で
さっすがアメリカ、笑わせるラストで
メリル・ストリープ脱いでいます(!)
地球が最後の日、ワタシならどうするだろう
何をして誰と過ごすんやろ
クローズ・アップ
現代アートハウス入門 vol.2 企画の第1日目
レクチャーは深田晃司監督(「淵に立つ」「よこがお」)
監督のお話を聞きたいだけで観に行った
1990年のイラン映画 アッバス・キアロスタミ監督
正直、映画は余計なノイズが多く
このシーンにどんな意味があるんやろ?
と、覚えていても意味がなかったり
伏線でもなかったりして
とても退屈で、気がつくとカクッとなって寝ていたよう…
映画の後の深田監督の話を聞いて
キアロスタミは一般の人で映画を撮るらしく
それがものすごいリアリティを生むのが特徴らしい
キアロスタミの映画は観たことがなく
ただタイトルは知っていて「友達の家はどこ」とか「桜桃の味」とか
深田監督が18歳ぐらいの時に観て「すごい」と思わせたらしい
が、ワタシにはその価値がわからない・・・

実際に起きた事件を基にしている映画
キャストは本人かもしれないし、別人の一般人かもしれない、と深田監督

こういうブルーレイが出ているという事は
やはり注目されている監督さんなんやろなー
「友達の家はどこ」「オリーブの林を抜けて」「そして人生は続く」
が収められている
GUNDA
モノクロなのに豊かな色と光、匂いと風を感じた
ある農園のある時期
ナレーションも字幕も音楽も一切なし
とびきり潔いドキュメンタリー
生まれたばかりの子豚ちゃんは
あんな鳴き方をするのかー
生まれてすぐ体が濡れたままテロテロ光っていて
目が開いてないのにおっぱいを求めて歩き出す
人間よりずっと逞しい豚
牛たちも不思議だった
2頭ずつペアになっていて
なぜか反対の方向を向いたまま寄り添っている
鶏の鶏冠が柔らかそうでぷるんと横に倒れていて
真正面から鶏の顔を見るなんて
あんまりないなーと観ていた
命とはなんとうつくしいのやろ
MINAMATA -ミナマタ-
日本で起こった企業による環境破壊大事件を
ハリウッドが撮る
音楽は坂本龍一氏
ジョニー・デップは主演だけでなく制作も務めている
残念なのはセルビアで撮影され
海や雰囲気、家屋が外国なのバレバレ
実際の水俣病の患者さんがたくさん出演され
エピソードやシーンも当時の写真や映像に
かなり忠実に作られているそう
今年の春に「阿賀に生きる」を観ていたので
(新潟の水俣病がテーマのドキュメンタリー)
下地があったものの
日本では社会的なテーマの映画は小作品で
ミニシアターでしか上映されない事を考えると
タブーに踏み込むハリウッドやアメリカの映画人達はすげーと思う
日本人俳優達も大活躍で真田広之さん、國村隼さん、浅野忠信さん
など皆さん熱演だが
ワタシが一番すげーと思ったのは加瀬亮さん
「沈黙-サイレンス-」でも彼はほんの少しのシーンで
大きく印象に残る演技を見せたけど
この映画でも病気による振戦(手の震え)を
タバコを吸おうとして、8ミリフィルムカメラを回す時に見せ
そして怒りのあまりに出る行動も「キヨシ」そのもの
以前、韓国映画に出演したインタビューで
オファーではなく、オーディションを受けていると知り
華やかではないものの独特の存在感で世界で活躍している
國村隼さんも英語の長いセリフも綺麗な発音
苦悩するがユージンを買収しようとする
したたかなチッソ社長をスマートに熱演!
最後に世界で起こっている企業による環境破壊事件が
いくつも紹介される
福島の原発事故も挙げられていた

偶然と想像
「ドライブ・マイ・カー」で話題の濱口監督作品
3つの短編からなる映画
テーマはタイトル通り
3つ目の話が良かったなー
顔を見て「あー!」と思うんだけど名前が思い出せない
よくある出来事
相手のテンションに「誰やったけ?」と
必死で記憶をたぐる(あるある!)
そこからひょんな風に転がるところが楽しい
夏子がちゃんと自分の思いを言葉にできていて
相手に伝えようとするその姿勢と眼差し
長年苦しんだ彼女の気持ちが見える
思いがけない展開なんやけど
でもそれが夏子にもあやにも
今や過去にカタチを与えたり思いをはっきりさせたりする
またとない機会となる、それがうつくしい
人間っていいなぁ
生きていたら、こんな事でこんな風に
思いを昇華できる
会話劇でひとつめの話など
人間心理の複雑で深い話なので
しかもテンポが早くて聞き逃した感と言うか未消化な感じ
どうでも良いのだけど1話目の彼が
この人知ってる、誰やっけと気になって気になって
後で検索して

メイド喫茶の店長さん役!中島歩さん
なんでも美輪明宏さんの舞台「黒蜥蜴」のオーディションで
200名から選ばれたのだとか
個性的な声と話し方なので印象に残ってた

パワー・オブ・ザ・ドック
重苦しい雰囲気が最初から最後まで
何かが起こりそうで、ずーっとヒヤヒヤした
フィルのどこか狂気を感じる振る舞い、言動
わからなかったのが、なぜフィルがピートに歩み寄ったのか
気持ちが変わった出来事は
ピートが秘密の場所に気づいて入ったアレだろうか
弟をコントローしようとし構い倒しながら
バカにするフィルの複雑さもわからなかった
そんな威圧的な兄に負けず自分の意思で動く弟
そして「ひとりじゃないって、良いもんだな」と涙する場面
あの夫婦はちゃんと心が通じ合っていた
ピートの目が怖かった
易々とフィルを信用するほど おめでたくもなさそうだし
ただならぬ雰囲気が続く中、ピートが事故のように殺されるのか
フィルがはっきり狂うのか
などと思いながら観た
でも…、みんなどこか狂気すれすれやったかも
ピートもローズも
カウ・ボーイの仕事がよくわかる映画だった
雨とあなたの物語
韓国映画は間違いない…
その確信をさらに強くした恋愛ものだった
早くわかる伏線や最後にあった伏線など
ストーリーのつくりが巧妙で
最後まで観客を離さない
始まりも年末に安らぎを感じる落ち着きがあり
お年を召した方も若い人も楽しめたんじゃない?
(お客さんは老いも若きも男女問わずおひとり様も)
ヨンホ役のカン・ハヌルがなんとも良かった
パッと見、ふつーの男子なんやけど
笑うと真っ白なきれいな歯が見えて雰囲気が変わる
冴えない予備校生ながら心優しく
大切なことを見失わないどっしりしたところが
韓国の俳優さんの底力を見せる
ヨンホの父、兄、予備校の先生
本の虫の彼、ソヒの姉、ソヒの母など
時間と2人を豊かにするしっかりとした役割があって
そこも感心した
過去、今をランダムに見せ
重要な「雨」を最後までうまく使うテクニック
今年最後の映画、ええのん観た
いやぁ、2021年が終わろうとしています
外は雪が降っています
今年はなんと115本の映画を観ました
ワタシのこの人生でどうやったところで経験できない
様々な出来事や出会いや感情を体験しました
あらためて、エンターティメント業界の方々にリスペクト
作品作りの情熱に胸を打たれます
今後もうんと楽しませて下さいね!
今年読んだ本の中に、そのエンタメ業界の様子がわかる
熱くて楽しい物語がありました
良ければ読んでみて下さい

映画が好きな人と
あの映画のあのシーンが、とか
あの俳優さん最高やな、とか
お喋りしたいなぁと、よく思います
1月2日から映画館が始まります
早速、観に行きます
どうぞ、良いお年を!