寒さ厳しかった2月
映画で熱くなりました
松田優作さんという俳優を
知ってるけど彼の作品をしっかり観た記憶が薄い
アップリンク京都で「角川映画祭」
タイトルは聞いたことある!みたいな映画がいっぱい
優作さんの映画を何本か観てきました
今月は以下10本
- 鈴木さん(日)
- 復活の日(日)
- 野獣死すべし(日)
- フレンチ・ディスパッチ(米)
- ちょっと思い出しただけ(日)
- ONODA 一万夜を超えて(仏・日・ベルギー・イタリア)
- ミュジコフィリア(日)
- ラストナイト・イン・ソーホー(英)
- 名付けようのない踊り(日)
- 蘇える金狼(日)
鈴木さん
すごいものを観た・・・
いや、とんでもない駄作?
・・・少々、ごちゃついてるナ
オープニングがまるで幕が上がるかのように
黒い画面がするする上がり
「カミサマ」の写真がスクリーン一杯に
サザンカを見る会…はて、どこかで聞いたような(笑)
ある年齢で独身だと市民権がなくなる…え?
富士山からもくもくと噴煙が上がっている…
怖いのか おかしいのか よくわからないまま
この走り出した暴走列車がどこへ向かうのか
公開初日、お客はワタシともう1人だけのがらーんとした劇場
姿を消した「カミサマ」は自信をなくしていて
出会う人や出来事に責任を感じていたからこそ
あんな行動に出たのだろう
この映画のチラシをもらおうとしたら
1枚もなく、きっとみんな「カミサマ」のビジュアルにびっくりして
手に取らずにはいられへんのやと思う
特記したいのはすみこ役の大方緋沙子さん
突然すごい民謡を披露し、変に勘が良い認知症の女性を
そのもの、って感じに演じていた
「おらおらでひとりいぐも」のばっちゃ役の人や!と嬉しい再会でした

復活の日
アップリンク京都 角川映画祭
1980年 深作欣二監督 小松左京原作
主演 草刈正雄・・・
今のコロナ禍を予見したような内容で
世界中の人々がイタリア風邪で死んでゆく
地震と大国のミサイルで世界が2度死ぬ、という恐ろしいもの
製作費に糸目をつけなかった?のか
潜水艦やら世界中を股にかけたロケやら(南極、マチュピチュなど)
豪華俳優やら、バブリーな80年台そのもの
深作監督がSF映画?と思ったら
海外の監督を探したらしいがまとまらなかったとか
時代なのか”いかにもお芝居してます”的な俳優陣
草刈正雄が生き残った男を演じるが
あまりに過酷で狂気が彼を襲うシーンが
とても詩的で美しかった
また、手抜きをせず ここを丁寧に撮り
最後に生き残った女性たちに出会うシーンの感動が高まる
そこでの彼のひと言もあの人の言葉で
なかなかに困難な製作だったようだがいいラストだった
SFに近い、いやもうSFな現実を
ワタシらは生きているのかもしれへん


小松左京氏原作を読んでみたいと思った
映画と原作を両方を味わう事で
映画づくりの苦労や原作の素晴らしさを知る
以前は、映画の前に原作を読むと映画を観てがっかりしたけど
最近はどちらが先でもあんまり変わらないと思う
ちなみに「ドライブ・マイ・カー」は映画後に原作を読んだが
原作の良さはさっぱりわからなかった・・・

この本に収められている短編の
いくつかのエピソードを混ぜ込んで脚本が作られたらしい
野獣死すべし
こちらも角川映画祭
1980年 村川透監督 主演 松田優作 原作 大藪春彦
松田優作の「太陽に吠えろ」「ブラック・レイン」を観ていない


「探偵物語」は少し?見た記憶がある
・・・で、彼が死んだ今
松田龍平くんの活躍、松田美由紀さんの活動の他に
彼の話をいろんなところで聞く
ワタシの彼のイメージは
クールで狂気さえ感じるほどのストイックさ
ワイルドでいてジェントルマン
この映画も彼の「狂気」を感じさせる主人公で
最初の登場、ひょろひょろの若造
え?もしかして、このヒトが松田優作???だった
なんで捜査一課の警部補が殺されるのん?
なんでこんなに人を殺してお金を奪うのん?
そこら辺が全然説明なしに映画は前へ前へ
小林麻美のきれいなこと・・・
うっとりするほどのきれいさ、存在感
喋らんでもよろしい、ぐらい
戦場でカメラマンをしていた主人公が
なぜこうなったのか、ワタシには伝わらなかったよ
泉谷しげるの役が何を意味していたのかもわからんかった
結局・・・悲惨な戦場で狂ってたってこと?
原作の大薮さんがいろいろ物言いつけたみたいやけど
銃に打たれて死ぬシーンを
やたらゆっくり見せつけられて
そういう原作でそういう映画なのかなぁ、と

フレンチ・ディスパッチ
なんだかオシャレで豪華キャスト
「犬ヶ島」「グランド・ブダペスト・ホテル」の
アンダーソン監督
楽しみにしてたし仕掛け満載の監督やから
集中して観てたのに眠気が・・・
レア・セドゥの美しいからだとおしゃれな看守のユニフォーム姿!
「ノマドランド」のフランシス・マクドーマンドの
コミカルな演技とティモシー・シャラメくんとの絡み
story3の最後突然アニメになるところと
ショーガール役のシアーシャ・ローナンの美しさ!
どこか漫画チックで動きがコメディな感じ、なんかが見所かな
公式サイトも楽しいのでぜひぜひ
シアーシャ・ローナンと言えば、まずこれ

「ストーリー・オブ・マイライフ」より
こっちがびっくりしたなぁ

ティモシー・シャラメくんと言えば
これを観ずして語るな、って話

「砂の惑星 DUNE」だっけ?
あれもすごかったみたいですが(ワタシは観ておりません)

ちょっと思い出しただけ
ふとした瞬間、同じようなことがあった時
共通のキーワード・・・
「ちょっと思い出す」瞬間は星のようにある
同時に胸の痛み、きゅんとしたあの瞬間
時は巻き戻せないし2度と会えない人もいる
会えない、会わないからこんなに切ない、という事も
ダンサーの彼が踊れなくなった直後
ふたりがすれ違っていた時でもあって
その時の「私がどれだけ心配したか」
彼が「今、それどころじゃない」は
男女のドウシヨウモナイちがいを感じて「わかるなぁ」
出会いがあって距離を縮めることがあって
ラブラブな時があって
離れてしまって時が経って・・・
直接相手に結びつかなくても
相手に会ったからしている事、気になってる事
暮らしの一部が細かに描写されていて
それが段々、後半になるに従ってわかる仕掛け
(時を遡って観せています、これが最初は???を重ねる)
ワタシの好きな池松壮亮君、永瀬正敏さん
神野三鈴さん、市川実和子さん、國村隼さん
尾崎世界観、という人がふーんこの人かと知りました
彼女の仕事がタクシー・ドライバーってのが
どうも腑に落ちなかったんやけど
この映画がどのように生まれたかを知って「なるほど」です
(公式サイトを見たらわかりまーす)

池松壮亮くんはこれで知ったかなー
「ラスト・サムライ」に出たらしいけど

これも凄かったな・・・

でも、これが一番印象的やな

ONODA 一万夜を超えて
小野田寛郎さんのお名前と
戦争が終わったことを知らずに
長い間ジャングルに隠れていた、ぐらいの知識で観た
この話をフランス人監督が日本人俳優を使って撮った
旧日本軍の理不尽な暴力体質ではなく
人間的な尊敬できる上官の命令に、小野田は自分の使命を守り抜く
情報のない時代、確かにこんな行き違いは起こるだろう
しかし、30年!
手元にラジオがあり、日本から捜索に来た時の新聞や雑誌を見ても
小野田と小塚は敗戦も戦争終了を信じられず・・・
いざ、説明を受けても受け入れられないくらい
洗脳され情報や知識がなかった、その哀しさと怖さ
狂気すれすれ、時には狂気に振り回され
彼らの生き抜いた足跡は生々しく
ワタシなど1年も保たないのではないだろーか
成年期の小野田役の津田寛治さんは
すべての感情から解脱した僧のような野武士のような
雰囲気・話し方・佇まいで
おそらく本当の小野田さんもこうやったんやろな、と思った
残虐なシーンはほぼなかった
旧日本軍の蛮行を描く映画ではなく
小野田という人間がテーマだったからやと思う
その影に隠されている事が
描かれている何倍もあったのではないか
戦争とはそういうものなんだろうな、と
平和な時代に生まれて育ったしあわせを感じた
捕虜になるくらいなら死ねと教えられた時代
先が見えず自ら鉄砲の弾に当たりに行った兵士もいた
生きるのも死ぬのもどちらも地獄の時代
91歳まで生きた小野田さんは
日本に帰ってきて、しあわせを感じる事ができただろうか・・・
ミュジコフィリア
ワタシはここで生きてるねん!と
まだ見ぬあなたに誇らしく言いたい
京都を舞台に音楽に情熱を注ぐ者たち(ミュジコフィリア)
の熱い熱い物語にムネアツになりました!
桜が咲く賀茂川の中洲にグランドピアノ、イキイキと歌う彼女!
「ONODA 一万夜を超えて」に出演していた井之脇海くんが
今度はピアノを楽しげに弾く大学生!
なんと、ホンマに弾けはるんやて(公式サイトでキャストのとこ見て)
最初の賀茂川でお花見に川のこっちと向こうに弦を渡して
風で音を出す、それにいろんな楽器でセッションする
あのシーンに痺れた・・・
音楽は”ミュージシャンや歌手のもの”だけではなく
ワタシらすべての人にあり、楽しめるんやな
ロックやポップス、R&Bなんてジャンルは実はどーでもいい
音楽の本質を描こうとしてて
それは突き詰めると「音」なんやねーーー
いやぁ、なんか目から鱗って言うか頭の中ひっくり返された!
是非、観てね ワタシの暮らす街ってこんなん(胸を張る-笑)
音楽の素晴らしさ、アタマじゃなくて
アンタの感覚で捉えてや!という映画です
京都に縁ある人がスタッフ・キャストに集結
ワタシはなんでもない場面で
広沢の池?京大?銀閣寺の近く?とロケーションが気になりまくった(笑)
先日、保育園時代以来登った大文字山からの景色も出てきて
何度も出てきた賀茂川はワタシのテリトリーのあたりばかり
あらためて、魅力ある街やなぁ・・・
大好きな神野三鈴さんがピアノからチェロから
まー、多彩で益々ファンです♡


全5巻、こちらが原作ですって!読みたいなぁ
後日談:読みました!映画より深いし
ストーリーも音楽の真髄をいろんな面から描いています

「音楽」の本質、と言えば ワタシはこれだと思います。
何度読み返しても、こんな本との出会いに
ここまで音楽の素晴らしさを表現した恩田陸さんに導きを感じました
ラストナイト・イン・ソーホー
タイムリープ・サイコ・ホラー…
この手の映画は苦手なのだけど・・・
この映画の評判を聞いていると観たくなって
誰か早く彼女を助けて!とハラハラ
もどかしい思いでラストまでグイグイ引き込まれ
展開のスピード感と無駄のない魅せ方にゴージャスな気分
自分の”好き”がはっきりキッパリしているって素晴らしい
60年代の音楽やファッションが好きなエリー
ブランドや流行に走る同級生からは「ダサい」と言われてたけど
好きなモノは好きで貫く良さが光ってる
サンディのふわふわのミニドレス、エナメルの白いコート
サンディのファッションはワタシも魅了されたな
着てみたいお洋服ばかり!
サンディ役はNetflixで話題の「クィーンズ・ギャンビット」の
アニャ・テイラー=ジョイ
彼女がホンマに魅力的でした セクシーで歌も良くて!
(公式サイトに彼女が歌う「ダウン・タウン」の映像あり)
監督は「ベイビー・ドライバー」のエドガー・ライト
音楽の使い方が天才的と言われてるらしい
今回も音楽 レコードをかけるシーンやダンスシーンが大きく印象に残る

変に説明的でなく、展開が早くて無駄がないのに感心した
登場人物すべてに意味があり
意外な人がキーパーソン…ワタシはエリーのママがkeyかと思ったわ・・・
いやぁ、ザ・エンターテイメント
映画の醍醐味を味わえました♡
ラストナイト・イン・ソーホー 公式サイト

名付けようのない踊り
ご本人に会ってしまった・・・
映画終了後にご本人登場のトークライブ
ぎっしり満席の熱気
去年だったか京都での舞台のチケット
取れへんかったん
出会いは「たそがれ清兵衛」

これで田中泯を知った
この映画は犬童監督

これを見逃したが・・・
”舞踏家”と聞いて
一体どんな踊りをする人なんやろ
いつか彼の踊りを見たいと思っていた
予告編のナレーションで
「一切の形容を退けてきた」というフレーズと
若き日の泯さんのパフォーマンスの写真に衝撃を受けた
世界の街角でふらりと現れ静かに踊り始める
それはワタシがこれまで”踊り”だと思っていたものとは
全然違って
以前、紹介した砂連尾修さんのような”身体表現”と感じるものに近い
けれど、これまたまったく別物
所謂、即興でその場の空気や風やを感じて生まれるもの
トークライブで仰っていたこと
「”僕の踊り”と思った事は1度もない(踊りを所有した事はない、とも)」
「動けなくなっても踊ってやる」と
「踊り」とはなんて自由で大きく深いものやろ!
こうやって、「俺すごいやろ」と言うてはる映画じゃなくて
これ観てアンタは何を感じて、どんな踊りをしてるんや?
というセッションのような映画やと思った

最近、観た田中泯さん出演の映画
確かに、この映画でも彼は”踊っていた”
蘇える金狼
角川映画祭での1本 1979年 松田優作主演
「野獣死すべし」と似てるアクション映画
でも制作年からすると、こっちが先のよう
ストーリーは所謂ハードボイルドもの
(めちゃくちゃで人物の厚みも何もあったもんじゃない)
ま、「松田優作」を観に行ったのでした
彼の日に焼けた肌が他の役者さんと比べると際立っていて
しなやかながら美しい筋肉がついたからだ
感情が前に出てこない感じ(笑わないのだ)
まだあどけなさが残る風吹ジュンが会社上司の愛人であり
優作の恋人で出演してるんやけど
この人、歳を重ねてからの方がええ顔してはる
松田優作と言えば「狂気すれすれ」なイメージ
今回もラストで見せた危ない表情
あれが彼の真骨頂
思い通りになったんやろか
彼はしあわせにはなってへんけど・・・
すごい俳優さんがいっぱい出てるけど
千葉真一さんが
品もあって優作さんと出し抜き合うシーンもある
角川映画でも大活躍しはったんやなー

時間って、未来から過去に流れているそうだ
過去から未来ではなく
「ちょっと思い出しただけ」は
今から過去へ遡ってゆく
あぁ、あの時ワタシ・・・って彼女は切なくなる
彼もあの時が忘れられないでいる
でも戻れない
そう、「ちょっと思い出しただけ」
「野獣死すべし」も今から80年代へタイムスリップしてみる映画
ちょっと正気を失ってたと言うのか(笑)
実にバブルらしい映画かな
「ONODA 一万夜を超えて」は
ロシアがウクライナに侵攻して戦争を起こした今
平和ボケしてるワタシ達にビシッと豪速球を投げてくる映画
タイムスリップする先はいろいろ
でも「映画やん」と楽しんでばかりもいられないものも
結構あったかも