思うように正直に生きてる?「恋人はアンバー」「宮松と山下」「ミセス・ハリス、パリへ行く」*2022年11月に観た映画

日本映画が多かった11月、しかも内2本はアニメーション

アニメをバカにできないとつくづく思ふ

レベル高い

なんとまとめて良いか考えあぐね11月のラインナップは以下

  • 恋人はアンバー(アイルランド)
  • スワンソング(米)
  • チケット・トゥ・パラダイス(米)
  • 窓辺にて(日)
  • 夜は短し歩けよ乙女(日)
  • 追想ジャーニー(日)
  • 宮松と山下(日)
  • ミセス・ハリス、パリへ行く(英)
  • すずめの戸締り(日)

恋人はアンバー

自分を認めて受け入れるまでのプロセスは

きっとこんな風に”もがき”まくって”みっともなくて”

死にたくなる程恥しい事をたくさんやってしまって・・・

ステレオタイプな男らしさ、女らしさの押しつけは

ちがうよね、不自然やんか…みたいな声も聞こえるようになった

ワタシは女性だけど「女性ってこうやん?」みたいな特に外見的なことには反発を感じる

エディのお父さんがめっちゃウザい(笑)

そこに応えるしか道はないと思ってるエディが情けないやらもどかしい

バレてないと隠してるつもりが、外に出てるってのがホンマ滑稽

アンバーは自分に正直に踏み出して、もう嘘はつけへんとわかってしまった

あの感じ、すごくわかる!人に後ろ指をさされるツラさより

自分に嘘をつくことに耐えられない感じが、めちゃめちゃ伝わった

アンバーだって苦しんだし、現在進行形で苦しんでる

でも、だからエディを放っておけへんかったのよね

(このシーンをお楽しみに!)

それにしても・・・

アイルランドの高校生はみんなあんなに下品で

女の子はエライ老けてて蓮っ葉なんやろかー(可愛らしさのかけらもない)

アンバー役の女の子(ローラ・ペティクルー)が

わかりやすい美人!とか めっちゃかわいいい!とかじゃないねんけど

表情豊かでしたたかでイキイキしていて魅力的だった

エディ役のフィン・オシェイも

すごく複雑な難しい役だったと思うのに

シリアスになり過ぎず、コメディチックにLGBTQをただそのままに演じてはった

予告編だけでちょっと泣けた

恋人はアンバー 公式サイト

スワンソング

ワタシがおばあちゃんになった時、どんな思い出を胸に

日々を送るんやろ・・・

過去に大きな栄光を成し遂げ

愛する人たちとかなしいお別れをしたパッド

不本意な今現在…でも、彼を忘れない人がいた

自分のアイデンティティなんて

誰かの悪意で簡単に崩れそうになるし

あってないようなものやけど、ある

パッドが自分を取り戻したり自信をなくしたりしながら

親友の葬儀の場にたどり着く

自分らしく自分の役割を果たす、それがどんなに大変な事か

年老いた孤独な彼にとって、マイノリティの彼にとって

彼が幻と度々触れ合い、力を得る

彼の魔法にかかったコトを忘れない人がいる

自分を求める人がいる限り、なんだかんだと言い訳してる場合ではないんや

ねぇ、パッド

ワタシめっちゃくせ毛やねん

もうちょっと伸ばしてさ、お洒落楽しみたいんやけど

どうしたらええかなー

スワンソング 公式サイト

チケット・トゥ・パラダイス

なんか…いろいろあって…

ジュリア・ロバーツの笑顔に会いたくなった

バリ島が舞台と聞いて、一回行ってめっちゃ良かったから

かなり期待して観てみたらオーストラリアロケも結構してる?

ものすご作りもんくさいバリっぽさを出そうとしてるビーチリゾート…

ジョージアの今カレも・・・なんじゃコレ感

最近のジュリア・ロバーツ(ジョージア)はええ感じで歳を重ねている感じ

(どう歳を重ねてるかは顔つきや振る舞いに現れる)

ジョージ・クルーニーはさすがでございます

髪もお髭も白髪だらけになろうとも…ジェントルマンでナイスガイでございます

この2人が元夫婦という設定

コメディなので笑いつつ観てましたが

ハリウッドならではのお金をかけたお手軽感(笑)

受けるやろ、コレと観客を甘く見てる感ありあり(笑)

ジュリア・ロバーツ、ジョージ・クルーニーを持ってきて

バリ島の旅感覚で「どうだどうだ!ハリウッドやぞ」

2人の大物と現地の人たちでなんとか持たせた感じ

エンドロールの「オーストラリア政府に感謝」で

びっくりしたわ!

ラジオでこの映画紹介してて

「バリ島の自然に…云々かんぬん」

いやー、偽もんいっぱい違いますか?

そやけど、人は大自然を前に自らをあれこれ思ふのは

分かるのですわよ、ワタクシ

チケット・トゥ・パラダイス 公式サイト

窓辺にて

正直、辛気くさかった(笑)

今泉力哉監督らしい「普通の」「日常」が絶対的にあって

作り込み過ぎない感じが「辛気くさく」感じられたんかな

「好き」って何やろう?

熱い気持ちがわからない、なんとなく…みたいな感覚しか経験しない

というタイプの人もいるんやろか

茂巳の家は生活感がない

モデルルームに美男美女が暮らしてる、みたいな現実感乏しい感じ

人間なんやから感情のぐちゃぐちゃとかあるやろーと突っ込みたくなった

帰ってきたら手を洗って「ほな、おやすみ」って・・・

紗衣がそんな夫との生活に満たされへんのは

同性としてよくわかる

だからと言って向かった先もどこがええのん?とワタシには理解不能

出てくる人が、みんなどこか変(笑)

多分それが当たり前、他人には理解できないものを人は抱えて生きてる

高校生作家の女の子が大人の茂巳を振り回す

そんなお子ちゃまに振り回される茂巳も茂巳や

でも、振り回されているようで振り回され切ってへん

正直、金曜日の夕方観る映画としては適さへんけど

こうやってあれやこれや何かしら引っかかる

人との関係に疲れている人には「あ、みんなこんなんか。ほな大丈夫やん」と思えるかも

窓辺にて 公式サイト

夜は短し歩けよ乙女

モリミーを読んだことある?(森見登美彦氏をそう呼ぶらしい)

彼の大学生時代を過ごした京都を舞台にした奇想天外な物語

いろいろある中から、これですかー

いやぁ、湯浅政明 天才やー

先輩役を星野源に持ってきたところが「観たい」と思わせた

いやぁ、この作品に関わる全ての人の熱量を感じた

よく考えてみると、小説をアニメ化ってめっちゃハードルいっぱい💦

キャラクターのデザイン

声優さんのチョイス

ストーリーの表現、微妙な心理の表現・・・

このあたりの繊細なトコ、湯浅監督 挑戦的であり楽しんでる!

そう、この作品に関わるひと み〜んな めちゃくちゃ大変ながら

思いっきり弾けて楽しんだ!

そこを楽しませてもらいました

めいっぱい

だぁれも笑ってないところで、堪え切れず笑いました(笑)

好きな人にまっすぐに向かえない心の葛藤の表現が実にリアル

わかるわー(ため息)って感じ(笑)

ちょっと芝居がかった、でも森見登美彦さん独特の

ドキドキするような京都の深淵も含んだ大人向きのアニメーション

ご覧あれ

夜は短し歩けよ乙女 公式サイト

現在、読んでおりまする

映像化は原作がこれだけしっかりしてるからできたこと

やと解りました モリミーやるな!

DVDが出ております

なかなかよろしいかと・・・

追想ジャーニー

ワタシの人生の分岐点はどこやろ?

戻ってやり直したいタイミングに戻れるとしたら

どこを選ぶのやろ?

女性がkeyで描かれているけど実はそうじゃない、ってのは明白

パートナー選びは確かに重要やけど

でもやっぱり”自分”なんよね

脚本が素晴らしいのかな

なかなかおもしろい展開になっていて、先が読めへん

最初は48歳が18歳に意見していたのが、逆転するし

18歳に助けられたり怒られるあたりは

「大人になると失うもの」と「時間=年月」を感じたなぁー

舞台が、本物のホールってのもユニークやし

演劇の要素をうまく使っていて斬新

元は演劇やったのかしら

ひまり役の女の子、存在感からして既視感あり

声や話し方を聞いて「絶対知ってる」

そこからワタシの頭は高速回転をして記憶を辿る

「流浪の月」の幼い時の”さらさちゃん”や!

いヤァー、やっぱりなんというのか

ただいるだけで、ものすごい存在感がある、オーラってこういうことよね

主人公役の高橋和也さん 以前からこの人すごいなと感じていたけど

今回も若手が多いキャストの中でガッチリ足元を支えてる

母役の女優さんが紹介されていないのは残念(エンドロール、公式サイト)

自分を全肯定してくれる人の言葉は、何もかもをひっくり返して

自分を奮い立たせてくれるね

なかなかに深い内容を最後はコメディにしているところも

「やるなぁ」と思わせる

追想ジャーニー 公式サイト

宮松と山下

なんだか不穏な空気感 何かが起こる?

どうやら斬られ役のエキストラ

仕事が終わってビールかな、と思えば、それも撮影だったりする

ロープウェイの場面もエキストラかと思えば

それは違ったりして

どこへ連れてゆこうとしているのか、さっぱり見当がつかない

香川照之さんを知ったのは、かなり前

テレビドラマで時代劇だった

めちゃくちゃ自然で懐の大きな男性役で役になのか香川さんになのか

惹かれてしまった

それ以来、独特の存在感で大活躍

この不思議なタイトルの映画は全く情報を入れず観た

宮松が自分の過去を思い出した後

今までのように振る舞うが、明らかに違う

という微妙な演技が抜群やった

積み重ねたものをなくした時の心許なさ

愛という語り尽くせない変貌自在のもの

彼はどうやって生きてゆくのやろ、生きてゆくしかないけど

公式サイトに予告編がいくつもある

監督ディレクション第4弾が最高なのでご覧あれ

宮松と山下 公式サイト

ミセス・ハリス、パリへ行く

「生きてる事に倦む」みたいな人を見てきた

歳を重ねる事は、ただただ”かなしい”としか捉えない向きもある

最近、我が身に起こる加齢にガックリきている(笑)

ミセス・ハリスのチャーミングな事!

いくつなんやろ?みたいな下世話な疑問は皆無

懸命に働き、人に優しくて、美しいものに素直に反応する

この女優さん「ファントム・スレッド」のダニエル・デイ=ルイスの姉役と知って

びっくりですがな

ディオールのオートクチュール 世界が見られるんやけど

最近、その手の多くない?

以前、観た「オートクチュール 」もそやったな

モデル役の女の子、確かにとても魅力的なんやけど(ラストの髪を短くした彼女は、めっちゃいい)

背が低くないかー?

メゾンの中で下着姿でモデルを努める人はすらりと背が高いのにナ

ワタシの聞いてるラジオでは「絶賛」なんやけど

ワタシとしては

わざわざパリへ行ってあつらえたドレスの扱いがホンマに雑で

ミセス・ハリスちゃうけど、悲しくなったなー

敢えてなんやろけど、あの特別なドレスを着た女優さんの品のなさにもガックリ

「運を引き寄せる人の特徴」をよく観て下さいね、という話があった

なるほどね それはそうかも

歳を重ねてもかわいらしく魅力的で男性を引きつける

そうね 若くないヒロインは大賛成やし

応援します プッシュします

しっかし、パリって不思議な街やなー

ミセス・ハリス、パリへ行く 公式サイト

すずめの戸締り

新海誠監督、天才!

鈴芽が自転車で坂道を下りて見る海の場面など

アニメーションのきれいさは相変わらず

「君の名は。」でも感じた事やけど

目に見えないもの、スピリチュアルな世界を真正面から堂々と描く壮大なまなざしに

日常のせせこましさからぐんぐん引き離される

最後の鈴芽がすべてを理解して言うセリフに

涙がじわじわ出てきて

我ながら「なんでやねん」と思いながら、ありきたりに聞こえるセリフが

実はとてつもなく深い事が”今”のワタシにはわかる

今がどんな状況であろうと

人は出会うべくして大切な人と出会っている

すぐお別れが来たとしても、たとえ結ばれなくても

高校生の鈴芽が着のみ着のまま船に飛び乗り

ただ驚くだけだった目の前の不思議に体を張って飛び込んでゆく

その一途な思いのパワーに胸を撃ち抜かれてしまう

なんとも不思議なタイトル

でも、はぁ そうですか なるほど と大ヒットも そらそうでしょーと

個人的に一番痺れた声は・・・

神戸のルミさん

ハスキーでいつまでも引っかかる伊藤沙莉さん

(個人的に「ちょっと思い出しただけ」「ボクたちはみんな大人になれなかった」で印象的)

RADWIMPSの音楽、十明の歌声

相変わらず音楽もレベル高い

DVDでいくらでも見られるけど、劇場で見てほしい

すずめの戸締り 公式サイト

こちらは観てないのやけど小説は読んだ

観て損はないと思う

個性的すぎて、どう締めたら良いのやら・・・

「追想ジャーニー」でね、今の自分が過去の自分に「ここ大事」って言うの

テストの前の先生みたいに

”今”を生きてると、何がどれが自分の分岐点なのか

そら わからんワ

今のワタシくらいになって、あ そういう事ね・・・ってのは

「もうちょっと早く知りたかった」感 満載・・・

でもね、わかった時点がベストなのです

「ミセス・ハリス、パリへ行く」を観れば、わかるかと・・・

そーかぁ、わかったような気になるけど

何にもわかってへんのやーと「すずめの戸締り」を観て下され

ワタシら一般ピープル、あっけなく終わりが来るのです