2月は短かったのに、結構映画を観ることができました
以前は2月って、良くないことばかり起きる、ツイてない、という印象でした
嘘みたい!(笑)
たまに凹んだり疲れることがあっても
「ヨシ、アレを観に行くぞ」と思うとスタスタ動けます
映画や本がワタシに広い世界を体験させてくれる
そのヨロコビとコーフンに身を委ねに、ワタシは映画を観に行きます
- 少年たちの時代革命(香)
- レジェンド&バタフライ(日)
- シスター 夏のわかれ道(中)
- ルイス・ウェイン 生涯愛した妻と猫(英)
- エゴイスト(日)
- ほの蒼き瞳(米)
- 別れる決心(韓)
- コンパートメントNo.6(フィンランド?)
- 小さき麦の花(中)
- エンパイヤ・オブ・ライト(英)
少年たちの時代革命
いやーーー、観て欲しい うん
シネコンの”受けるやろ、これ”的な映画を観てる人にこそ
この躍動的で疾走感がリアルで、彼らの苦悩を切実さを感じてほしい
香港の民主化運動
若い世代が動いてる 勇気を振り絞って参加してる
雨傘運動、どんな気持ちでどんな状況で動いているのか
大人はやっぱり自分や家族の安全優先やけど
若者は未来を見てるのよね
今の危ういセーフラインより、この先”生きてゆくための自由”
ドキュメンタリータッチで
リアルなセクハラや諦めや逃げやぶつかり
日々、自分の最も近くでのあれこれに闘う彼ら・・・
純粋である事は恥ずかしくない、と思う
愛する彼が「なんでそこまでこだわるの?」という彼女の
割り切れなさ、そして放って置けなくて一緒にいるけど、ホンマはめっちゃもやもや!
彼は彼でものすご葛藤してる・・・
ラストのひとりの人の腕をつかもうとする何人もの腕
なんてすごい映画やねんやろ
安全を選ぶ事が自分の幸せにつながる
…そこに疑問を感じる
でも、一般市民に向けられた暴力に、もしあの場に居合わせたら
ワタシは最後まで抵抗できるやろか(抵抗する側前提でーす)
仲間割れ、あくまでも個人の意思、セクハラ、大人からの圧力
彼らがいろんなものと闘っているのを知った
レジェンド&バタフライ
このタイトル聞いて、時代劇を想像する人はいないかも
キムタクのラジオで伊藤英明さんや綾瀬はるかさんをゲストに
この映画を紹介していて「ふーーーん」やった
監督があの「龍馬伝」の大友啓史さんと知って、観たくなった
東宝映画70周年記念作品でお金かかってる〜
でもさ、公式サイトに”人気No.1武将”とあって「うそ〜〜〜」でした
織田信長って、そんな人気あるかな?
頭はいいけど残虐を極め気性が激しいーってのがワタシの彼のイメージ
でも、この映画は織田信長すげー、キムタクすげーになってないところが花丸!
織田信長の為人を苦悩する、本当は濃姫の心中を思いやる
ただ戦好きで残虐ではないところを描いている
見所は結構あるかも(豪華キャストと信長と濃姫のラブストーリーなので)
あらためて、綾瀬はるかってすごい身体能力!
乗馬も殺陣もドスの効いた声の出し方も
容姿に恵まれた上に身体能力に演技力、キムタクに負けてませんでした
そう、キムタクもすごいのよね
彼は人気にあぐらをかく事なく、かなりの努力家でええカッコしぃちゃう
自分が輝くために他の共演者やスタッフがどれだけやってるかを
めっちゃわかって、それを背負って熱くなる人ってのがワタシの印象
秀吉役をしたのが音尾琢真さん(かなりイメージに近い!)
ワタシ的には秀吉は竹中直人さんがしっくり
家康役はな、な、なんと斎藤工!(彼と気づかせない扮装でした!)
ワタシ的には西田敏行さんがしっくり
で、信長がキムタクやねんけど・・・
ここも言わしてもらうと、ワタシ的にはトヨエツがしっくり
濃姫が”蝶”がつく別名を持っていて(いろんな歴史文献にいろんな名前で残っている)
それでバタフライやと思うねんけど
戦で死んだ名もなき兵士の血にとまっていた蝶が
やがて信長の肩にとまる
彼の残虐性に心を痛めながら止められなかった事も描かれているが
これって、信長まるごとを知った上で愛したって事よね?
シスター 夏のわかれ道
自分の感情に正直、取り繕ったり、相手の顔色を見ない
・・・この映画に出てくる女性たち
喧嘩腰で言いたいことを言い、時には手が出る(笑)
彼女の葛藤は男の子を欲しがる親、可愛がられ与えられ覇気のない彼
女だからと行きたい道を閉ざされ、必死で抗い突っ張ってきたからや
中国のひとりっ子政策の陰にこんな物語があったんや
監督は女性!ーやっぱりね、と言うか納得
女性にしか描けない映画やわ
伯母さんも印象的やし
幼い弟がいじらしいやら、可愛いやら
なんとも自然で「お芝居してます感」がない
親が死んだ事が理解できなかったり、置いてけぼりにされた心細さ
きょうだいが向かい合い泣くシーンなど、たまらなかった
みんな子ども時代をしっぽのように持ってるんやなー
そのしっぽを自分で気づいて自分で切るまで
それが大人になるって事なんやろかね
(予告編のメイキング映像を是非!)

ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ
のっけから何やけど
妻役の女優さんが濱田マリさんにそっくりで
そればかりを誰かに言いたくて言いたくて(笑)
ヴェネディクト・カンバーバッチを知ったのは「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
男性性全開(ま、複雑な男役でした)の役でいやーな奴でした
その彼が、こんな映画に!?がきっかけ
原題は確か「The Electorical Life of Luis Wain」
彼は「電気が!」「電気を感じるだろう」と”電気”を口走る
彼が感じている”電気”は人と人との間に生まれる言葉にできないもの
(劇中で彼の生涯の友が実に的確な言葉で表し、膝を叩いた)
1800年台の終わり、身分違いの恋は無関係な人に吐き気をもたらすような
一家全員が差別に合うような出来事・・・ってのが衝撃
そこを突破したルイスはエライ!
愛し合う者同士が結ばれる事はふたりにとって最高!
妹の一番上のヒト(この人、名脇役かもよ)が最後までルイスを頼りつつ罵り
独身で家族に尽くし抜いて老いてゆく姿は、哀しいなぁ
女性の哀しみが全編に漂っている映画でもあった
実在する画家なのねー
ルイスの描く猫ちゃん達が物語を明るく照らす
少年の頃の夢に苦しみ、支えを失い彷徨うカンバーバッチの演技が素晴らしい
ワタシが観に行った回は年齢層やなんやかやが広く
体が不自由なお母さまと一緒に娘さんとお父さまが
エレベーターのない2階のシアターに
そーいう映画です、うん
(映画に関わった人たち、これを知ったら喜びそう)

エゴイスト
いやぁ〜、うつくしかった
どんな2人も出会って、ときめいて、伝え合う瞬間って
こんなにも瑞々しくてうつくしいのかもしれへん
浩輔も龍太も繊細でピュアで芯の部分で寂しさを抱えていて
目や言動にそれが現れていて
こんな荒んだ世の中やのに、スレてへんねん
そんな魂と魂が出会って結びついたって感じ
龍太のお母さんの受け止めも「あんたの大事な人じゃない?」
「それが男の人だろうと女の人だろうと構わないのよ」(うろ覚え、だいたいこんな感じのニュアンス)
喪失の後の浩輔と龍太のお母さんの感じが
とても良くて(それまでも浩輔と龍太が2人してお母さんを大事にする気持ちがずっとあった)
最後のシーンが、もう、ホンマ落涙して当然
(一番うつくしいシーンかもしれへん)
浩輔が「愛ってわからない」って言うてたけど
アンタが取ってる言動、すべてが愛やんかーと思った
”エゴイスト”の本当の意味を彼は生きてると思ったけどなぁ
キャストが良かったのかもよ
鈴木亮平、宮沢氷魚、阿川佐和子
なんと言うのか、清々しくも温かいあのムードは
この3人やったからかもしれへんわー
余韻が後を引く
こんな風に”大事に思える人”とワタシは出会えているんやろか
ほの蒼き瞳
Netflix作品(安定の信頼感)
1830年代って、ランプか蝋燭であんなに暗かったのか
近代化前の設定の映画で必ず思う…電気って偉大や
その暗さが全編のムードと合っていて
事件の不気味さ、主人公の心中とリンクしていた
ミステリー映画の何かが起こりそうな気配
得体の知れない犯人
この雰囲気が軽くゾクゾクさせてくれて物語に引き込まれる
俳優陣が豪華でエドガー・アラン・ポー役の人の個性全開な感じに
まず持って行かれた
映画でよくお目にかかるティモシー・スポールも個性的な顔貌の人で
すぐ彼だと分かった
人の運命は意外性の連続で
きっと主人公は復讐さえ遂げたら生きていても仕方がないと
思っていたやろな
事件は解決したかに見えて
もうひとつの事件が絡んでいたのが明らかになる
これに驚かされたけど、合間合間に主人公の記憶のアレがすとんと胸に落ちた
ラストシーン、彼はこれを選んだんか・・・
パッと感じた展開にはならへんかったけど
彼なりに整理がついたんやろなー

これもスコット・クーパー監督とクリスチャン・ベイルのタッグ
これ、観てたなぁ…スコット監督、彼に惚れ込んでるんやろな
(「ほの蒼き瞳」と同じコンビ)
別れる決心
彼女に初めて会った時のシーンが
カメラは美しい彼女をその魅力を映さず
恋に落ちた彼の表情と動揺を撮っていた・・・
彼女を張り込みしながら心情的には
彼女の側で五感で彼女を感じ取る彼(このシーンも面白い)
タイトルがどうもピンと来ないのやけど
彼女の側からの言葉なのかなー
あのラストを思えば・・・
指が触れ合う、彼のリップクリームを彼の目の前で自分に塗る彼女
事件の本当のところはわからない
でも、それはどうでもええねん これはラブ・ストーリーやねん
地味なようで色っぽくてどんどん美しくなり、掴みどころがない彼女
コントロールしようがない、妻がいても恋に落ちた彼
理屈と常識と感情にぐちゃぐちゃになって崩壊する彼
説明なんてつかへんのが恋や
そういう説明のつかへんラスト
アレで終わりにしますか・・・

パク・チャヌク監督の作品って観てないなぁと思ったら
これは観てました!ソン・ガンホ、イ・ビョンホン出演
コンパートメントNo.6
ユーミンの曲みたいなタイトルやん
斬新なロードムービーらしい予告編を観て引かれた
極寒でだだっ広いロシアを寝台列車で旅をする
おかしかったのは、いかにもロシア人っぽい
お役人気質の車掌(女性でニコリともしないしエラそうー笑)
不思議だったのが、定員2人のコンパートメントに男女が一緒になる事
(ワタシなら女性とでないと困る)
寒い時期にひとりで遠くへ旅をするって
それだけでも気が滅入るやろ 目的地に誰もいないなら尚更
いかにもフィンランド人顔貌のラウラといかにもロシア人の顔つきのリョーハ
一体、どういう展開になるん?
ここで遭難して凍死せえへんか?
酔っ払ってたのに覚えてたん?
いやーーー、やっぱり異国の感覚って不思議
よくわからんけど、ラウラの顔つきが変わってゆく
猛吹雪、暴風雪の中を転げ回って遊ぶふたりー何を吹っ切った?
あのおばあちゃんは誰?
謎は謎のままでぶっちぎる感も清々しいレベル(笑)
リョーハの強すぎる眼差しが心に残る
あ、カンヌ映画祭グランプリ獲得作
小さき麦の花
いつか誰もが、こんな男やこんな女に愛され大事にされる(はず)
見てくれや能力、富でない
ありのままのふたりの長くて短い物語
ヨウティエは一度も笑顔を見せなかったけど
優しい人だとすぐわかった
「いや」とも言えない人だと
やたら失禁するクイインは多分辛い目に合ってきた
誰も彼女を愛して大事にしなかった
だから彼女はヨウティエと一緒に暮らして
穏やかな表情や微笑みを見せたんやろうなー
(この人だけがプロの俳優で他はみんな普通の人って言うから驚く)
ふたりがせっせと働く畑や家づくり 季節の移り変わり
育んでいたのは作物やヒヨコだけ違うて”お互いを思いやる気持ち”
ほぼセリフなし ふたりが交わすのは短い言葉
たまにクイインがゆっくり話す長い文章 思わず聴き入る
隣人や地域の人たち、中国の人って
「ありがとう」ってほとんど言わへんのね?思ってるのに
相手を気づかうような言葉はなく、でもヨウティエの約束を守る律儀さが残る
何がしあわせなんやろう?という問いかけがされている
ヨウティエとクイインは一緒になってしあわせやったけど
周りに振り回された、という思いも残る
近代中国の発展とその陰に生きる人々
そこにフォーカスした映画でリアルだからこそ
これだけ支持されているのやと思いますです
エンパイア・オブ・ライト
うつくしい映画やった・・・
クラシカルで風格ある映画館の佇まい
映画館で働く人々の矜恃や優しさ
オリヴィア・コールマンは結構お年を召していると思うのだけど
とてもチャーミングでいて統合失調症の演技が神がかっていた
イギリスの映画でこんな海辺の街って珍しくない?
そして冒頭に見せる明かりが灯る度に輝く映画館
いいなぁ、あんな映画館がある街
ヒラリーのなんだか落ち着かない日常からスタートする
それが何なのか、わかるのは中盤から後半
でもさ、女性としての魅力たっぷりってのがポイント
コリン・ファースが実に嫌な男で出演(笑)
パワハラ・セクハラ上司、ヒラリーがなぜ応じるのか理解に苦しむ
ワタシがヒラリーなら、ヒラリーでも、応じひんけど
映画の素晴らしさを知らないヒラリーに
その素晴らしさを語るスティーブン
若いスティーブンの言葉にようやく耳を傾けた時・・・
オリヴィア・コールマンにも魅了されたけど
一番心に残ったのはスティーブンのママ
その声に存在に立ち止まらずに振り向かずにいられないど迫力
「あなたたちのことは詮索しない」と言った彼女から
差し出された手を握るシーンには胸熱
年の差も肌の色も人と人が出会って心を通わせる事に関係あらへんのよね
精神的におかしいヒラリーに対するみんなやスティーブンの態度
そんなことの遥か上をゆく人と人に通う思いに
なんだか胸打たれて、なんの接点もないけど「ワタシ、大丈夫」と思えた
生きていたらいろんな事がある
時には拗ねたり僻んだり歩みを止めたりする
けれど、また前を向いて歩き出すーそれが素晴らしく尊い事やと思う
うまい事言われへん、器用に立ち回れへん、けど自分にできる事ってある
それを黙々とやっている、敢えてそれを選ぶーそこに人は感動するんちゃうやろか
タイトルに挙げた3作品の他に
「エゴイスト」も「シスター 夏のわかれ道」も「ルイス・ウェイン」も
そういう映画でした
今月観た映画、ホンマどれも素晴らしかった!