なぜか5月はフランス・パリにめっちゃご縁があって
(映画の話ね)
フランス映画だけちごて、日本映画でフランス・パリロケをしてたりして
ようやくワタシも
大人の国フランスの感覚がわかるようになってきたからやろか(嬉)
お洒落なだけじゃない、リアル・フランス
世界を見て、日本を見る
日本の入管問題も見ないフリはできひんな
今月は以下
- 午前4時にパリの夜は開ける(仏)
- それでも私は生きていく(仏)
- Winny(日)
- Qui,Chef!(仏)
- TAR(米)
- 高速道路家族(韓)
- ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトロー達の誇り(米)
- 波紋(日)
- 岸辺露伴 ルーヴルへ行く(日)
午前4時にパリの夜は明ける
思わぬ事の連続に泣いたり笑ったり
いつも誰かが側にいてくれる、振り返ってみると
ひとりだったら、”今”はなかったーこれってみんなに言える事かも
予告では、ある少女との出会いが特別のような印象を受けたけど
それはごく一部で、でも重要なメッセージを発してる
助けたようで、実は助けられている…だったり
他者へ関心が向く事は心に余裕や優しさがあるから…だったり
でもさすが、フランスは大人の国だわ
ある程度年齢を重ねた女性はママであっても
ちゃんと1人の女性として生き、世間からもそう扱われる
日本とは違う文化…と言うより”人々の意識”、かな
80年代のフランスの感じ
大統領選挙やラジオの深夜放送、音楽…
それでも私は生きていく
レア・セドゥのボーイッシュなショートカットが
めちゃめちゃ魅力的!
ふくよかでヴィーナスのような美しい肢体!
だけど美しいヒロインの夢物語ではなく
シングルマザーで父の介護、仕事もしていて
で、人生の繁忙期を生きる女性の目の回る毎日が描かれる
父と母は離婚していて、2人はそれぞれにパートナーがいて
父は病気で介護が必要やけど
それに元妻の母も手を貸しているという成熟した関係
(ここら辺もフランスの大人さを感じる)
老いも若きも”個”として生きる→ここなのよね、憧れるのは
歳を取ったら終わり、結婚したら終わり、離婚したら終わり
では、ないねんな
そんな大人の主人公が恋をしたら小娘同様(笑)
でも、そういうものか・・・
相手を独占したくなるのは自然な感情なのかもしれへん
恋人の前で拗ねたり、父を大きな優しさで包んだり
娘を迎えに行ったり抱きしめたり
いろんな顔を見せるひとりの女性
一生懸命生きている姿はホンマに美しい
Winny
「ぜんぶ、ボクのせい」の松本優作監督作
また前作とガラリと雰囲気が違う!
本当にあった事件を実在の人物を描いている
プログラミングで自分の表現をしている、と
法廷で述べた彼は
とても純粋で夢があり優しい人間で独特でもある”オタク”
今、引っ張りだこの俳優・東出昌大さん
こういう役も受けるんやなー
ITに強い弁護士役の三浦貴大さん(父:三浦友和、母:山口百恵)
この2人のコンビネーションが素晴らしかった
お互いを理解し裁判という同じ目的で一緒に頑張る
その美しさ(他の弁護士達とチーム一丸となるところがいい)
最初からツーツーでうまくゆく訳じゃないところも丁寧に見せる
最後に残っている映像で金子さんご本人が話している
知的で熱い男性で裁判の中で彼も変わったのかと
思わされた
これができたら助かる人がいるかも
喜ばれるかも、と日々精進し、新しいものを生み出す技術者達
そこに悪意はないのだと確信する
警察の誘導捜査、最初に結論ありきという姿勢は
冤罪を生む体質が見える
この裁判に実際に関わらず、警察の中で踏ん張る現役警察官役の吉岡秀隆さんが
さすがすぎて、彼の存在がこの映画をさらに良くしてた
Qui,Chef!
つんけんつんけん、とげとげ・・・
あんな”氣”を発していたら、うまくゆくもんも行かんわ
カティの頑なさには理由があったんやけど
プライドが邪魔したり、違いが受け入れられなかったり
目の前の人の反応が気に入らなかったり
覚えがあります、ワタシにも
ふっくらした女性の先生(キャスト紹介に載ってなくてお名前がわからない)
あの人の醸し出す温かさ・人をホッとさせる空気
あんな人になりたいなぁ
周りのせいにして”つんけん”してるうちは
その女性の先生にすらイライラしてしまうけど
いろんな人の言葉や態度、経験にふと立ち止まり
やがて何かが解けてゆく感じが自然やった
強制送還の崖っ淵にいる青年達との関わり
一緒に収穫して匂いを嗅いだり名前を覚えたり
味わったりしながら見せる彼らとカティの笑顔が嬉しかったな
過酷な状況で生きてきた彼らの中には
自分の生まれた日や年を知らない人が多くいて
骨で年齢を判定するシステムには驚いた!
確かに難民全てを受け入れることはできひんもんなー
でも彼らに心を寄せる大人がまたひとり増えた!
展開は意外で「あら、そうなりますか」と驚かされた
ワタシはカティが賞金狙いで出たんだと思った
そのお金で彼らに何かしようと思ったんちゃうか、って
でも、もっと大胆で素敵な発想やった
思い出の味を語り作りみんなで食べるシーンが美しかった
それぞれの国、文化、懐かしいひと
記憶に残るごはんは誰か人も必ず存在するね
TAR
超・話題作 ケイト・ブランシェットの下からのアングル写真
観ずにはおれません
やたら雄弁でペラペラ喋りまくるけど
なーんのこっちゃ?ぴーよピヨ 意味不明なTAR
カリスマ感をぐいぐい出してくる
聴力が繊細でずば抜けている感じがずっとあって
その彼女をイラつかせる人・出来事・シュチュエーション
段々追い詰められてゆくのは彼女?観てるワタシら?
何が誰が彼女の敵なのか明らかにならないまま物語は進む
若くて才能あるオルガに振り回されるTARが
どんどん恐れや不安に陥り何が起こるん?という展開になってゆく
あの決定的に転落を決めたシーンのケイトは凄かった
まるで死神 狂気そのもの
そこから先が「え?」の連続で
マッサージ店のシーン、誰の家?ってシーン、最後のあのシーン
監督は観客に委ねていて、ワタシは転落の果て、と見た
TARは何が欲しくてどうなりたかったんやろ?
もう十分やったんちゃうんか?
あの地位からは、もっとマニアックに音楽を極めたら良かったんちゃうの?
カリスマの位置をキープしつつ…ってあたりで
失敗と言うか、音楽の神様にその純粋さを疑われ捨てられたって感じ
でもさ、解釈いろいろ も一回観たいかも
高速道路家族
韓国版「万引き家族」かなぁ
貧困の話を見聞きする度に「教育」の重要さを思う
仕事での問題がある度に、同じく
なぜ、こうなるんやろう→この疑問を持ったり現実に立ち向かう時に「教育」が必要やと思うの
「さよなら」はこれ以上ないくらいに冷たくしないと
相手はやり直せる可能性を感じてしまう
身を削る思いで「さよなら」を決めたのに、ね
女性は母になると強くならざるを得ない
だって子どもを護らないと
現実から一旦、逃げる事はひとつの手立てやし否定はしいひん
そやけどいつまで逃げ続けますか?って話
無邪気なはずの子どもが現実に直面しているのに知らんぷりはできんわ
人生は計算では生きてゆかれへん
良くもわるくも予想外の連続やから
生き抜く力は正しい方向に使わなあかん(その点このおとーちゃんはアカン)
最後のアレは夢?現実?ー監督は観客に委ねた
ワタシは現実で、あの手紙は天国に宛てたのやと思った
”愛する事”と”生活を成り立たせる”はイコールにならないと一緒には暮らせへん
うん、どっちかだけでは
ずっと一緒にはいられへんのよ
ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトロー達の誇り
金曜夜の映画にふさわしいエンターティメント
頭を空っぽにできて楽しめた
ゲームが映画になったらしい
痛快だったのが”女性が強くて恋愛抜き”
男性が弱くてイマイチ、兄妹のような女性が強くて頼り甲斐があって
敵も最強の魔女!
ヒュー・グランドがズルくてヤな奴役(ぴったりで笑った)
他はあんまり有名な人は出てないみたいやけど
公式サイトのキャスト紹介の熱さは半端なし
(アメリカのエンタメ界では大活躍してる人ばかりのよう)
それぞれがかなしみを抱え不完全さがあり
だからこそ他者に心を寄せ力を合わせられる
”パーフェクトである事”が強みや魅力ではあらへんのよ
波紋
絶望エンタメ!?ーそんなジャンルがあるの?
主人公はワタシと同年代
そーか、こういう問題が起こりまくって宗教か・・・
統一教会の話が社会的にクローズアップされ
日本のタブーでもある”宗教”を持ってくるところが勇気あるな
荻上監督(女性です)
トーンはまるで深刻ではなく、ブラックユーモア満載で
宗教の集まりの歌とダンスには毎回苦笑
「会員なら誰でも買えるわけじゃないのよ」と”あなただから”を強調して
怪しげなものを売りつけるリーダーにも笑えた
そこに集う人たちが妙にロボットみたいで
悩みや厳しい現実を抱えた人にはまるで見えない言動
地味だけどきちんとした装い、気持ちが悪いほど”いい人”
ああいうのが”洗脳”された状態なんやろうな
主人公がある人の汚部屋で大声を上げて泣くシーンがある
言いたい事を言ってるようで、でも真っ当な人が
こんな一面を抱えて頑張って生きてるのか…と打たれたんやと思う
あの女性は宗教に集う人より、よっぽど”まとも”で”魅力的”
そして主人公の息子くんも冷たくも温かく母をよく見てる
彼がそこに引っ張られず自らの人生に漕ぎ出している姿にホッとする
黙って現実に耐え、やがて宗教に傾倒する女性を
大ファンの筒井真理子さんが熱演
最後のフラメンコも喪服からのぞく赤い襦袢が彼女のこれからを予感させる
「波紋」というタイトル
水音やホースから水が出っ放しとか、水を飲むとか
枯山水の水紋やプールや…一滴の水から広がる何かを意味深に表現
岸辺露伴 ルーヴルへ行く
SNSで高橋一生がおもしろい頭してはる映像を
何回か観て、特に興味もなかったんやけど
いつもの映画館でいい時間帯に観たい映画がなくて
シネコンで探したらコレかもうひとつ、と感じて
なんとなくコッチという予感で観てきた
テレビドラマで放映された”岸辺露伴”のまた違うお話らしく
世界観として明治・大正あたりの匂いを漂わせ
一体いつの話?と思えば、スマホやタブレットが出てくる
その世界観とミステリーが一緒になって
ストーリーも手が込んでいてぐいぐい引っ張られた
家に帰ってきて公式サイトを見ていたら
高橋一生のコメントが地に足ついた中堅役者さんで
”スタッフ・キャストみんなで1チーム”的な意識でへぇーーーと思った
このシリーズ、続くんちゃう?

こんな漫画が本屋さんにずらり

この映画のコミック

ん?小説も出てる?
今月はね、もうひとつポイントがある
女性が主人公だったり、存在感の大きさだったり
扱いが変わってきてるってトコ
男性が主人公の「ダンジョンズ…」でも
女性キャストの力強さや存在感がめっちゃ大きいし
日本の「波紋」は女性監督が描く
女性の生きづらさをワタシのだーい好きな筒井真理子さんが
しなやかに熱く演じてる
女性とか男性とか、ってレベルの話をしてる場合ではない
どんなジェンダーの人も尊重され
いきいきと暮らせる事が絶対必要、って事がハッキリした
”男性”だけに委ねていては世界が歪むねんよ