じゃまなかくん*「人間万事塞翁が馬」そのままの山中伸弥先生

ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授の記憶は

まだ新しい

 

 

最近お名前を聞く機会があり

改めて彼について調べてみると

高校生への講演「人間万事塞翁が馬」を聞くことができた

 

 

 

お話は決して上手ではない

下に置いた原稿を見てることも多く緊張なさっていたと思う

 

 

 

けどね わたしはとても引きつけられた

ノーベル賞を取ったからと言って

生まれつきすごくて順調にきたのではなくて

 

 

 

普通の人間そのものの山中先生の

順調どころか山アリ谷アリだったこれまでを聞いて

わたし自身も励まされたから

 

 

 

人間万事塞翁が馬 山中教授

 

 

 

山中先生は高校生の頃柔道をやっていて

何度も何度も骨折をした

それがきっかけで整形外科医を目指す

 

 

(失礼ながらとても柔道をやっていたようには見えない)

 

 

整形外科医になったものの人が20分でできる手術が

彼には2時間かかったという

 

 

そこで「じゃまなかくん」と呼ばれ

自分には臨床が向いていないのではないかと

基礎研究の道へ

 

 

人間やっぱり向き不向きがある

努力すれば何とかなるという風潮は早くなくなればいい

 

 

 

わたしは「頑張れば何とかなる」という考え

のもとで大きくなってきた

 

努力してもどうにもならないこともある

 

 

 

そこで彼が出会った師は自分の立場や面目より

研究が大事な師で

研究のおもしろさを教わる

 

 

ここで山中先生が学んだ3つのことのうち

3つ目の「先生の言うことを信じ過ぎてはいけない」に

わたしは非常に共感を覚える

 

 

「先生」も人間で間違うこともあるし

いつもいつも立派ではない

そして先生にとって「正しい」と思えることが

自分にとっても「正しい」とは限らないからだ

 

 

この「先生」を「他人」と当てはめると

わかりやすいかと思う

 

 

誰かの言う通りにすることは簡単だが

自分の首を絞めることになるだろう

 

 

 

 

山中先生の講演に戻る

それから彼はアメリカで研究職につく

それも30カ所ぐらい当たってみてのようやくのポスト

 

 

その時のボス ロバート・メリー所長が教えてくれたのは

VW=VisionとHard Work両方が大切だということ

 

 

Vision

よく使われる言葉だが組織や会社にはあって

自分自身には描きにくいもののような気がする

 

 

わたしの理想はなんだろう

「こうなったらいいな」と思うことはなんだろう

 

 

そんなことをこの1年何度も何度も考えてきた

それはこれまでの自分の人生の中で初めてのことだった

本当は学生時代に考えることだ

 

 

いや こどもの頃でもいいだろう

 

 

自分は何がしたくて どうなりたいのか

そのために何をするのか

こういう順番に物事が考えられたら良かったのに

 

 

わたしはそれが本当に苦手だった

いつも漠然としていた

 

 

でもHard Workは得意で(日本人はこういう人が多いらしい)

VisionのないHard Work

 

 

 

 

 

「人間万事塞翁が馬」この言葉の意味をご存知だろうか

わたしは知らなかったので調べてみた

 

 

中国の古い書物に書かれた

「幸せや不幸は予想ができないことの例え」

 

 

昔ある老人がいてその馬が逃げてしまった

良い馬だったので周りが慰めると

「これがしあわせにならないとも限らない」と老人が言う

 

 

しばらくたち逃げた馬が仲間の馬をたくさん連れて帰ってきた

お祝いを言われた老人は

「これが災いにならないとも限らない」

 

 

またしばらくすると老人の息子が馬から落ちて骨折する

なぐさめられると老人は

「これがしあわせにならないとも限らない」

 

 

そしてまたしばらくすると戦になり若者たちは戦に行った

老人の息子は骨折していたので戦に行かなくて済み

無事だった

 

 

山中先生のこれまでは

まさにこのエピソードと同じ

 

 

そして、それは誰にでも当てはまること

 

 

 

 

 

人は注目されたり褒められると

勘違いしてしまうが

山中先生は研究の目的を見失っていなかったし

 

 

目的の先には臨床で見てきた患者さんたちが

いつも見えていた

 

 

そんな生き方に「それでいいんだよ」と

神さまからのごほうびがノーベル賞だったのだろう