帝国ホテルのサービスが話題になっていた
宿泊客を感動させるサービス
そこには相手を思う気持ちがあった
ただ惰性で仕事をしていたら
どんなお客さんが今泊まっているのか
この人が今望んでいることはなんだろう?
どんなことをしたら喜ばれるだろう?
アイディアだけで人を喜ばせることができる
喜びの感情は仕事をしている上で
大きなエネルギーとなり
現場のモチベーションを上げさらに仕事のレベルが上がる
螺旋のようにプラスのエネルギーが広がっていく
看護師として働いていた頃
それまで【患者さん】を【患者さま】と言う流れに
変わった時の違和感に立ち止まった
病気は患者さんと医療スタッフで治してゆく
考え方の組織だった
【患者さま】となると【お客様】みたい
相手への敬意は【〜さま】で呼ぶことではない
医療機関に来て
メニューから清拭や浣腸を選ぶのではなく
医師の診断のもと必要な処置やケアが看護だ
だから看護をサービスだと表現されると
「いらっしゃいませ」
「ありがとうございました」
そんな世界ではないから違和感を感じるのだ
上司の師長さんが
「看護はサービスだと思うよ」と言ったことを
今回の帝国ホテルの話題で思い出した
あなたは看護をサービスだと思いますか?
ちなみにサービスとは?
- 奉仕
- 給仕。接待。
- 商売で値引きしたり、客の便宜を図ったりすること。
- 物質的生産過程以外で機能する労働。用役。用務。
(広辞苑より)
Wikipediaでは
経済用語において、売買した後にモノが残らず
効用や満足などを提供する、形のない財のこと。
第三次産業が取り扱う商品。
法令用語では、役務といもいう。
これらに看護は似ているようで違うものだと思う
奉仕ではなく必要な援助をすることだし
お給料を頂くがケアや処置を売買しているのではない
効用や満足などを提供する形のない財
これは言い当てている部分がある
例えば温罨法は血液循環を良くして
痛みや疲労物質を流す効用がある
その効用を期待して提供する形のないものが
看護だ
以前は医療・福祉はサービス業に分類されていた
そうだが(!)
現在医療・福祉はひとつのカテゴリーになっている
医療サービス
看護サービス
という表記はされる
病院や医師も【選ぶ】時代になっている
だから【サービス業】の自覚をもつことが
必要な側面もあるだろう
以前はなかった【接遇研修】も院内で行われる
ようになった
社会人としてのマナーだけではなく対患者のために
以前は医療機関の方が上で
患者さんは言うことを聞く側だった
「してやっている」的な医療機関も存在している
そういう意識をなくすための
接遇研修でもあるだろう
検査の費用を割引する検診のクーポンも登場した
時代はどんどん変わっている
選ばれる病院にならなければ
病院だって倒産する時代になったのだ
開けていれば人が来る時代は終わったのだ
そういう時代を生き抜く建前なのだろうか?
患者さんがどんなに嫌がっても
しないといけないことがある
「今は」受け入れられないだけかもしれない
時には厳しいことも言わねばならないこともある
人間対人間のぶつかり合いに
わかりやすい正解などない
必死に治ろうとする生きようとしている患者さん
に向き合う看護はサービスなんだろうか?
そんな現場に「サービス」という言葉は
正しいのだろうか?
直接的でないにしろお金の受け渡しがある
ケアや処置は点数として計算され請求される
看護師の中で「この清拭をやったら1000円」
などという意識でやっている人は
ひとりもいないと思う
患者さんの状態や痛みがある部分や
どれだけ動くことができるかなどを考えて
手早くそして気持ちよく感じてもらえるように
考えながらのケアだと思う
そこには【相手を思う気持ち】が存在する
そう考えると
看護はサービス、でいいのかもしれない
サービスだと思うから割り切れることも
あるのかもしれない
病院によっては入院対応を1件やれば
いくらという手当がつく現場もあるという
看護師のモチベーションを上げるためには
そんなことも必要なのだろうか
現場を去ったわたしが
とやかく言うことではないが
【医療】は人の命に関することだから
安易に数字に置き換えることは
間違いの元だろう
看護がサービスだろうがなかろうが
やることは同じで
現場の大変さは変わらないだろう
けれど理念や考え方という根っこは
道を間違えないために
非常に大事だと思うのだ
仕事はただやればいいのではない
なんでもいいから看護師になったという人は
いないだろう
元気になってほしい
目の前の患者さんにいいケアを提供したい
そんな思いで多くの看護師さんが
今日も頑張っていることをわたしは知っている