【魔法の言葉】なんて言葉が本屋さんに並んでいる
言葉と写真の松岡修造氏の日めくりカレンダーが
95万部以上売り上げている
こうしてわたしも【言葉】を使って書いている
あなたも目から【言葉】を受け取っている
言葉は伝えるためのツールだ
相手に 自分に何かを伝える
松岡氏の日めくりは何を伝えているんだろう?
彼が言うには
自分は決して強いこころの持ち主ではない。
”言葉”を通じて自分を前向きにかえてきた
だから【誰かの背中を押したい】思いで
日めくりとして繰り返し言葉を届ける形で
作ったと言う
次に叩く一回で、その壁は
破れるかもしれない
苦しい時ほど笑ってごらん
反省はしても、後悔はするな!
こんな言葉が松岡氏のなりきった表情と
派手なアクションの写真の日めくり
激務をこなす看護師のあなたに
彼のパワーは伝わるだろうか?
誰かを励ましたくなるのは
その立場や気持ちが理解できるときだろう
看護師のキーワード 共感 だ
誰かが何かをやろうとしている時
つまずいて立ち止まっている時
苦しみながら前へ進もうとしている時
そんなとき励ましたくなる
看護師のあなたはいつも患者さんと向き合い
患者さんの様子を観察しながら
言葉や表情や行動から
その人の気持ちや状態を知ろうとする
時に「大丈夫ですよ」と安心させ
時におどけて緊張をほぐし
時に用もないのにその人のベッドサイドに行く
安易な励ましが患者さんに届かないと
知っているからこそ側にいて
何でもない話をする
その患者さんが話すことに耳を傾ける
状態や予後が悪い患者さんにかける言葉は
告知の有無に限らずかなり悩む
患者さんはほとんどが人生の先輩だから
上っ面の言葉やわかったフリなど
お見通しだから
自分のひと言ひと言が
相手にどう受け取られるか
考え過ぎてしまって話せなくなる
わたしもそうだった
だけどね今だから思うんだけど
自分が患者だったとして
看護師を見ていて何を感じるだろう?
痛みが強かったり意識が朦朧とする時がある
自分に何を言われたいだろう?
わたしは多分あたたかい手でからだに触れて
「痛みどうですか?」
「お水飲みませんか?」
普通に声をかけて欲しいな、と思うの きっと
いつもと同じように自分のからだを気づかって
できるだけ楽なようにしてほしいな
【いいこと】なんて言わなくてもいい
むしろユーモアを持って声をかけてほしい
あなたが1年目だろうとベテランだろうと
あなたのこころからの言葉は
必ず伝わる、と思う
文字にされた言葉は発した人から
少し距離ができてしまうけど
話す言葉はその人そのものだから
目の前にいる患者さんに
あなたが行うケアはオリジナルだし
あなたの表情や声 動き そんなものすべてと
言葉が一緒になって患者さんに届く
言葉だけが届くんじゃない
だからこころから相手に向き合って
出た言葉はちゃんと意図したように届く
無理に励まそうとしなくていい
直接的な言葉じゃなくても
態度や行動で伝わるから
言葉は時に相手に勇気を与えたり
気づきやきっかけを与える
そしてひとを傷つけることもある
言葉だけがひとり歩きすると
思わぬ結果を招くことがある
松岡氏の日めくりは
彼のテニス人生と世間で受け止められている
キャラクターがマッチして
いかにも彼らしい言葉だから
人に届きやすくて
じっくり見ることでさらに深みが増すのだろう
それと同じで
あなたが普段のあなたで
患者さんに向き合うとき
あなたらしい言葉が生まれて
患者さんに届く
だからへんに怖れなくていい
「ちゃんと届けるんだ」って思っていたらいい