この映画で話したい!「宮本から君へ」

喋りたい!!

熱い熱いこの映画を観終わって

とにかくこのコーフンのまま

誰かと喋りたくなった

 

 

 

フツーのサラリーマン宮本(池松壮亮)が

あることをきっかけに人間丸ごと変わる

そこに甘えはひとかけらもない

 

 

 

人が変わったように

短い言葉でわめくようにモノを言う

言い訳一切なし

 

 

 

そうさせた特別な人、靖子(蒼井優)も

半端なく厳しい

 

 

 

ふたりのやりとりは

激しいお腹の中からのぶつかり合いだ

 

 

 

ふたりのぶつかり合いを見ていて

ここまでさらけ出し合えるというのは

ある意味相手を試す部分もあるだろうけど

一定の信頼がないとできひんやろな

 

 

 

そして「上っ面のニセモンなんかいらん!」

っていうコミットなんやと思う

 

 

 

宮本が不甲斐ないというよりは

実はどうしようもないこと

その怒りを宮本も靖子も知らんぷりができない

 

 

 

でも、知らんぷりをしてしまうと

後になってそのツケがきっと来るやろう

みっともなく泣いてわめいて、もがき倒す

 

 

 

この「もがき倒す」ところが

実に劇画チックで(原作は漫画)

アホちゃうか、という向きもあるやろ

 

 

 

身近な友達に宮本や靖子のような人がいたら

たちまち距離を置くのが

今の一般的な風向きやと思う

 

 

 

でも「もがき倒した」ふたりは

良いか悪いかは別にして

それなりのケリがつき乗り越えてしまう

 

 

 

宮本など「どうしたんやろ」と心配するほど

でっかい男になっている

そしてケリがついた後は元の静かな男に戻っている

 

 

 

 

 

 

 

この映画を観て確信したのは

とにかく自分の想いを伝えたり

アクションを起こすことが

トラウマを残さず乗り越える方法だという事

 

 

 

今、自分がどう感じているのかが

はっきりしたら突き進む宮本や靖子は

涙と鼻水でドロドロなんやけど

その本気度に圧倒させられる

 

 

 

それは「変」で済ませられる事ちゃう

もがき苦しむ姿はむしろ美しいとすら感じる

そういう姿を出せない人が多い(と思われる)現代では

 

 

 

たった1回きりの人生

このぐらい本気で誰かにぶつかって

さらけ出してみる経験あってもいい

 

 

 

これだけは負けられない

どうしても譲れない

 

 

 

そういうものに出会う時、勝ち負けも大きいけど

「自分がどれだけ全力でやったか」

それがモノを言う

 

 

 

結果として負けたとしても

力を出し切った、限界まで粘った

それは今後を変える力を持つはず

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮本と靖子のそれぞれの実家へ

ふたりが訪ねるシーンがあって

それぞれの母の存在感が素晴らしかった

 

 

 

聞きたい事を聞けない母の複雑な思い

(これは両家とも)

 

 

 

余計なことは言わないけど

内心は許せない靖子の父

飄々としているけど妻の複雑な気持ちも

不器用な息子の気持ちもわかる宮本の父

 

 

 

こうやってふたりのバックボーンを見せて

宮本を丸ごと変える大きな事件では

「親なんかに関係ない」と言い切って

当事者の親が介入しようとしても

一切漏らさない宮本

 

 

 

親だとか会社だとか上司だとか

ともすれば、それが自分を大きく左右する存在を

宮本は信じないし縋らない

文字通り「超える」ねん

 

 

 

不甲斐なさも弱さも葛藤も

全てをエネルギーに

ただ自分の気持ちで突き進む

 

 

 

そうしないと

宮本は自分を許せなかったんやと思う

 

 

 

 

 

 

 

この人のブログ、ネタばれですが

暴力の角度からの分析がなるほど〜でした

言語化できる力素晴らしい

 

 

Youtubeで見た真利子哲也監督は

シャイな感じの人で

どう見ても

こんな激しい作品を作る人には見えへんのやけど

その辺りのことにも触れていて

 

 

 

真利子哲也監督に

わたしの中でチェックが入った

 

 

 

 

 

 

 

言語化・・・で思い出したのだけど

宮本が靖子にプロポーズするシーン

 

 

靖子が「それしか言えないのか」

「もっと他のこと言って」と怒鳴り返す(笑)

一瞬狼狽える宮本(笑)

でも「言えねぇ」

 

 

この辺り実に男性らしいと思った

言い方わるいけど

「単純」な男性の考え方・言動そのものが

よく現れている

 

 

そして「言葉でちゃんと言って欲しい」

女性の心理もわかるわかる

 

 

男女のちがい

 

 

本当にわかっているのかは別にして

口がうまいからモテるんだろうなと

思わせる靖子の元カレ裕二(井浦新)

 

 

言語化できてるんだけど

多分自分の殻が破れていない同僚田島(柄本時生)

 

 

やたらわかった風に解説したがる

お節介おじさん大野(佐藤二朗)

←”教えたがり”のいかにもな男性

 

 

力ですべてが解決すると思っている拓馬(一ノ瀬ワタル)

←力を見せつけたいタイプの男性も多い

 

 

 

 

 

 

 

 

暴力、性と激しいシーンが多いこの映画

豪華キャストが集結している

 

 

特に池松壮亮さん、蒼井優さんを観ていて

よほど肚がくくれていないと

できない役とシーンだと思う

 

 

ここまで共演者や観客に見せられるって

すごいことだと思うし

むきだしの自分を見せて芝居をする

 

 

ここに特別な絆が生まれるのも、よくわかる

 

 

二人は「斬、」に続いての共演で

蒼井優さんは結婚したばかり

この映画メインでその辺りにも触れた伊集院光のラジオ

 

 

リスペクトし合うふたりを感じて

この映画の前段階になるドラマや

原作の漫画も読んでみたくなる

 

 

エンディングの宮本浩次の歌と

突き抜けた池松くんと赤いバラを見て

なぜかポロリと涙が溢れた

 

 

自分の気持ちに正直にまっすぐに

おしゃれじゃなくても

ここまで裸で行く宮本や靖子はうつくしい

まさに「生きている」って、こういうことか