12月は後半から観たい映画が集中して
年末年始は映画三昧しようと決めてます
今月は以下を観ました
- 燃ゆる女の肖像画
- 朝が来る
- KUBO 二本の弦の秘密
- ボックストロール
- アンダードック 前編・後編
- マティアス&マキシム
- Song to song
- FORMA
- 82生まれ、キム・ジヨン
- パラサイト 半地下の家族
- Happy Hour
燃ゆる女の肖像画
とてもとても美しいふたりだった
恋はこんなにもみずみずしく
時に怖く、抗えなく 五感すべてで相手を感じる
あのなんとも言い難い感じが
うつくしく映像化されている
音楽の力も凄くて
お祭りでの女性のコーラスが
美しすぎて忘れられない
ラストの強い音楽も「あぁ、わかる」だった
正直に言うと
とっても眠くて(退屈という意味でなく)
前半見逃している
もう1回観たい
朝 が 来 る
先月も観て、2回目
前回はシネコンで 今回はミニシアターで
なんで続けて2回も観たのか、と言えば
前回に書いたように
かなりの情報を入れていて
公開後もインスタライブ 、監督のラジオ
ずっとチェックしていたので
1回目は圧倒されたと言うか
観た後も、なんだか落ち着かなくて
しばらくいっぱいいっぱいな気持ちやったので
落ち着いて、もう一度と思ったのでした
監督の息子さんも出演している、とか
インスタライブ に出てきたあの人のシーンとか
あぁ、これね もあったし
このみの黄色のスカジャンとか
生まれたばかりの朝斗を栗原夫妻に託すシーンで
項垂れているひかりの両親とか
やっぱり1回目とはちがうところに目が行きました
監督から「朝斗の眼差し」と聞いたけど
確かに曇りのない朝斗の眼差しが
この映画のまん中を通ってると思った
良いとか悪いとか
そんな決めつけはどこにもなくて
登場人物全員がそれぞれに「自分」を生きている
そんな大きな懐を感じさせる
そして大人の鑑賞に耐えうる映画、やと思います
朝が来る 公式サイト
小説では登場人物にいい・わるいがある
映画では「いい・わるい」が存在しない
解釈や表現の多様さを感じた
KUBO 二本の弦の秘密
スタジオLAIKAという
ストップモーションアニメ作品ばかりを
作っている会社の特集を出町座でやっていて
どんな映画?と思い予告編を観たら
アメリカ人が見た日本を舞台に作られ
他数本上映になっていた
三味線、折り紙、ハンゾウという名前
リアルな大波のシーン
声にシャーリーズ・セロンやマシュー・マコノヒー
ルーニー・マーラにレイフ・ファインズ
戦いのシーンなど本気中の本気
たやすく主人公側を勝たせない
展開が読めない!
息を飲む展開に魅力的な人物たち
ストップモーションアニメの気の遠くなる作業工程
たかがアニメと侮るなかれ
ストップモーションアニメは
以前「犬ヶ島」で初めて知った手法
ボックストロール
小学校低学年ぐらいの少年とおじいさんが
一緒に観に来てた
少年はワクワク!って感じで
スクリーンに釘付け
京都での初公開が出町座らしく
英語の音声、字幕は漢字が多い
少年は楽しめたかなぁ・・・
「アナと雪の女王2」「トイストーリー4」を抑えて
アカデミーの長編アニメ映画賞を受賞したらしい
これもストップモーションアニメ
いやいや〜、「KUBO」と続けて観たけど
チーズブリッジという街が舞台
ワルモノはチーズアレルギー(めっちゃリアルに顔や体が腫れる)
あの発想からしてすごい
ボックストロールはそのまま「箱のお化け」
魚の箱のトロールの名前は「フィッシュ」
主人公は卵の箱で「エッグス」
彼らの可愛さが楽しくて
人間の少女がこれまでの映画でよくある少女像をぶっ飛ばした
勝気で好奇心いっぱいのウィニー
テーマは「自分で変わる」「踏み出す」
見てるだけで楽しい手作り感満載の緻密なロボットや
ボックストロールたちの発明
実に楽しくてワクワク
日曜日にぴったり
アンダードック 前編・後編
ボクシングが題材の大人男性漫画みたいな感じ
アンダードックとは
将来有望な若手ボクサーの踏み台となるような
“かませ犬”的ボクサーのこと。(サイトより)
ダンサーでもある森山未来くんのからだが
とてもダンサーには感じられず
肩幅・胸板の厚さ、しなやかな筋肉とうつくしい
「氣」の存在を感じる映画だった
覇気のなさややる気のなさ
なんとなく気になる…
意思があり漲る氣
相手が気になる
相手を受け入れる
感情
こんなにも私達は「氣」を発しているんやなーと
あらためて感じた
「やった先に何が見えんだろ?と
思ってやってんだろうよ」みたいなセリフがあったけど
居場所がなくて
ケリやけじめを自分でつけられなくて
やめられないでいる
晃のボクシングや宮木のお笑いはそうだろう
好きだから、やりたいから
そんなスッキリした言葉なんて嘘くさくて
現実はこの映画みたいな感じで
「やめられないからやってる」人も多いのかもしれない
本当に気が済むまで
気力体力の限界までやったら
勝ち負けは超えてしまう
そこからどこへ向かうにせよ
新しい一歩が踏み出せるんだろうな
それを「完全燃焼」と呼ぶのかもしれへん
とっ散らかった男世帯の家や
デリヘルの事務所
ボクシングジムの感じ
役者も素晴らしいがスタッフもすごい
マティアス&マキシム
恋をすると
なんで何も言えなくて無様なんやろ
こころの動揺が自己嫌悪になるような
行動や言葉になってしまう感じが
胸が痛くなるようやった
仲間同士の演技も素晴らしく
5人組男子のコンビネーション
マティアスの突飛な行動や言動に
微妙なものを感じ取ってる雰囲気など
仲間たちはふたりの気持ちに気づいている?
と感じた
また、ふたりの母が対照的に描かれる
家族ぐるみの長い付き合いで
マキシムはマティアスの家に支えられているのが
印象的だった
直接的なシーンはないものの
マキシムの家のことをマティアスたちは
よく知って理解していたのだと思う
監督でもありマキシム役をした
グザヴィエ・ドランは
「君の名前で僕を呼んで」を観てこの映画の着想を得たらしい
また、UPLINK京都で
「2020年見逃した映画特集」に挙がり
”ナチュラル美音大音量上映”で
音楽が生っぽくて臨場感があった
Song to song
写真集みたいな映画やった
ライアン・ゴズリング
ルーニー・マーラ
ナタリー・ポートマン
ケイト・ブランシェット
・・・
他にもいっぱい有名な人が出てる
監督は「名もなき生涯」のテレンス・マリック
そう言われると、あぁ あの光は彼か…と納得
虚しい
何かになれても、なれなくても
自分の人生に意味を見出せない
心が満たされない
恋愛が人を満たすと、言えると思うが「永遠」に続かない
人はないものを欲しがる
あ、待てよ
「ある」のに「ない、ない」と探しているのかも
偶然、公開初日やったせいか
7割ぐらいお客さんが入っていて
わたしの前の列など大学生ぐらいの男子が5、6人で
観に来ていた 話題作?
FORMA
毎年、暮れに出町座がこの映画をかける
何なんだろう?
気になる・・・
監督の舞台挨拶を楽しみにしていたら
日を間違えていて
生の監督のお話は聞けなかったのが残念
何だろう?このシーンが長々とあるけど
何か起こるわけでもない
重要な会話があるわけでもない
そういうシーンがいくつも続く
で、なぜだかじわじわ怖い
危ない感じが少しずつ高まってゆく
そして最後の場面
あ、ここがあそこに繋がってるのか
少し見えてくる
ぶつり、と突然切れる演出に
えっ?
音楽など一切ない潔さ
不気味なムードから動けないのに
エンディングロールはどんどん流れてゆく
パッと身支度をして帰って行ったお客さんはいなかった
82生まれ、キム・ジヨン
内容は一定知っていたけど
こうして様々な女性の不利を見せられると
なんとも言えない気持ちになった
夫の実家が優先
しかも行けば召使いのように働かされる
結婚したら「男の子を産め」と言われる
職場では「女性だから」選ばれない
子育てしながら働く女性に
「子どもがかわいそう」だと言い放つ
家族の中では
男の子が最優先され可愛がられる
などなど挙げればキリがない事実
そう、日本も韓国も同じなんやなー
主人公が洗濯したり
子どもの世話をしたり、細々とした家事を
”本当に追われてやっている感”がすごくリアルだった
闘うお姉ちゃんや同僚、上司も出てきて
夫も事態を理解して共に生きようとしていて
救いがあるものの
男性客が比較的多い上映で
なんとも重いムードに包まれた
パラサイト 半地下の家族
言わずと知れた
アカデミーで4部門、カンヌでパルムドール
それを知っているから?
すごい迫力とスピード感ある展開で後半、我を忘れた
サスペンス?社会派ファンタジー?ホラー?
いろいろ混じり合い問答無用のど迫力
二極化する社会をユーモアを持って描いてる
裕福な家族の絵に描いたような雲の上感
(大雨の夜の翌日のあの感じ、ね)
貧しい家族の「わかるわかる」なリアル感
(匂い、がkey この五感に訴える感じがわかるー)
そして「え!こうなりますか?」のジェットコースター感
お馴染みの名優ソン・ガンホの
安定感抜群のいい人なんだけどイケてない感じ
そしてコメディアン感覚きらり
他の俳優さん達も素晴らしい
みんな個性が強い強い(笑)存在感しっかり
わたしは奥様役のチョ・ヨジュンと
前家政婦役イ・ジョンウンが印象的だった
Happy Hour
5時間17分、3部に分けられている映画
出町座だったか、ミニシアターで
よくこの映画の話が出てきて気になっていた
31日の大晦日、ほぼ満席状態で観てきた
観る前に監督と桜子の夫役の人の舞台挨拶があった
演劇のワークショップから生まれ
無名の人ばかり
そんなマイナーな作品だったが
最初の方の
4人が”重力を感じるワークショップ”のシーンで
これはすごい映画かもしれない、と予感した
「頭で理解するのではなく
からだからアプローチする」
わたしがここ3、4年実感していることが
そのシーンで語られていた
一見、平穏でそれなりに幸せだと思いながら
どこかで何かを感じていた女たちが
仲間の一人の出来事に自分の「何か」に
じわじわ気づき目覚めてゆく
重心のワークショップでの話が
彼女達の日常とリンクする
印象的だったのが
かつては愛していた夫に「わたしは殺された」と
裁判で語った女のその気持ち
100%理解し合えないとしても
”わかり合おうとする姿勢”や”知ろうとする姿勢”
それが あるかないか
そこを理解できない男
気づいたところで「もう遅い」タイミング
何もかもを頭や理論で片付けようとする人間と
感覚的な事を重視する人間
この2種類がぶつかり合ったりすれ違う
帰り道 静かなピアノがいつまでも聞こえるようで
凍るように冷たい夜空に青白く光る月を見ながら
「もー、これ何て言うたらええのんー」状態だった
2020年最後の月
「女性」がテーマの映画が多かったかなー
愛、生き方、不妊、友達…
女性からさらに細かい切り口で
それは究極「人間」になる感じがした
韓国映画2本
「82生まれ、キム・ジヨン」
「パラサイト 半地下の家族」も
社会的な側面から人間を描いた力のある映画やったな
悔し涙を流す落ちぶれたボクサーの「アンダードック 」も
胸が痛くなるようやったし・・・
濃ゆい映画を堪能した12月でした
ゆっくりになるけど
また2020年わたしの映画大賞を
noteでまとめようかな、と今のところ思ってます