緊急事態宣言は解除されそうな京都
映画館は人が戻って来てる
2月26日にUPLINK京都が再びオープン
(設備の工事のため約2ヶ月休館してた)
今月は以下の映画を観ました
- 緑の光線(現代アートハウス入門)
- 阿賀に生きる(同上)
- チチカット・フォーリーズ(同上)
- 泣く子はいねぇが
- 私は確信する
- すばらしき世界
- The PROME
- 私をくいとめて
- アーニャは、きっと来る
緑の光線
先月末からの企画「アートハウス入門」での鑑賞
エリック・ロメール監督作
企画でなかったら多分観ないな
よくわからないフランス映画っぽい(笑)
主人公にイライラ、なんてめんどくさいヤツ
と思いつつ最後はどうなるのかな?
彼女に変化があるのかな?で観る
思い起こせば
わたしも主人公みたいやったなーと
しばし「人のことは言われへんし」状態
この映画をレクチャーしてくれた
深田晃司監督(「淵に立つ」「よこがお」など)
のおかげでかなり理解でき
映画自体がなんとも中途半端な感じがしたが
なるほどそういう事ね、と
ロメール監督の意図が理解できた
普遍的な日常に転がってるような事から
人間を描いているんやな、と
あぁ、ようやく学んでる実感(笑)
でも、なんとか撮影に成功したという「緑の光線」の瞬間
わたしはわからなかったー
阿賀に生きる
「アートハウス入門」での鑑賞
1992年 佐藤真監督作
ドキュメンタリー
行こうかどうしようか迷って予告編を見た
新潟の阿賀野川付近が舞台で
おじいさんやおばあさんのなまりがなんとも良くて
見に行くことにした
豊かな川の恵みが地域を潤してきた
純粋な人たちの暮らし
突然、新潟水俣病のことが出てくる
未認定の人が認定された人の3倍ぐらいいて
その裁判で静かな村や人々は
当然ながら分断が起こる
・・・が、この映画は
水俣病の裁判を描いているのではなく
タイトルそのままに
この地域で生きる人たちを描いている
だから裁判に参加する人としない人がいても
どちらが良いとも悪いとも描いてない
地域の人たちが寄り合って
行事を行ったり演芸大会を楽しんだり
それぞれの生業を見せる
その流れに裁判があり
裁判長たちを弁護団が現地案内する場面があった
この排水口から有機水銀が大量に流されたと
生々しい映像もあった
ドキュメンタリーとして高く評価され
伝説のようになっているらしい
映画の後のトークで
多くの学び・視点を教わり、また観たいと思った
チチカット・フォーリーズ
タイトルは一体どういう意味なんやろ?
検索すると、この映画ばかりが挙がる
アメリカ マサチューセッツ州
ブリッジウォーターの精神障害を持ち
犯罪を犯した人の施設を描いた
ドキュメンタリー
1967年 進んでいるアメリカと言えど
精神障害を持つ人への理解がない
医療者やスタッフの上から目線や
馬鹿にした言動
素裸で閉じ込められるひとり部屋
見た目、行動で明らかに病気を感じる人もいれば
どこに病気があるの?と感じる人もいた
このドキュメンタリーも
人権を無視した施設を告発しようとか
精神的な病気の人は危険だとか
一切の前提がない
ただ淡々とこの施設に収容されている人や
医者・看護師・スタッフを撮っている
何を感じ取るかは観る側に委ねられている
これを観て、あなたはどう思う?
ワイズマン監督から
そんな問いを突きつけられた
あらためて
人が、人を、人として
向き合いケアするって、どういう事やろ
泣く子はいねぇが
友達と「禊」の話をしていた
映画を観た日、別のところで「禊」が飛び出してきて
・・・納得
ラストのひとり”なまはげ”は
彼の「禊」や!と
秋田へのラブレターのような映画で
美しい海辺、迫力あるなまはげ、秋田名物「ババヘラ」
そしてあったかい秋田のなまり
柳葉敏郎さん(秋田出身)が
地で行くような役も嬉しかったなぁ
(彼のファンです!)
企画に是枝裕和監督
エクゼクティブ・プロデューサーに河村光庸氏
(「新聞記者」プロデューサー)
そしてこの映画
まずシネコンで公開されたのよね
ほぼ無名の佐藤監督なのに
観たらわかる、その理由
言葉に出すのがためらわれる
本当は言いたい…そんな微妙な人の心を
「間」や表情や沈黙でつくる
そしてわたしの下心(笑)
ひいきにしている太賀君が主役
(今は「仲野太賀」で活躍中)
ダメ男が足掻きもがいて
情けなくてみっともない、最後の「禊」まで
・・・かな
あ、音楽がとても良かった
私は確信する
ノラは なんで こんなにのめり込んだ?
それにしても謎が多く
未だにスザンヌの遺体は見つからず
誰も有罪?だったっけ?になっていないらしい
子どもも仕事も恋人も…
ノラの場合、恋人の優先順位は低いのに
彼は次々にトラぶるノラに必要最小限のフォローをする
デュポン=モレッティとも
ずいぶん感情的なやりとりをする
日本人なら決裂レベルなのに
最後までノラは彼に託し彼はノラに応える
・・・って言うか
この裁判にとって必要な情報をノラは提供する
法廷ものを何度か見ているが
ヨーロッパって不思議
コスチュームがどう見てもコスプレ(笑)だったりする
で、裁判官と並びに座っている人が平服だったりする
休み時間は弁護士も裁判側もそのまま席にいて
マスコミの取材を受け
いろんな人とコミュニケイト!
お国の違いを見せつけられる
裁判で無罪を勝ち取り
裁判の場でハグの嵐、お互いを労い合う
これって自然やん
日本の温度の無さをつくづく
ま、そのメリットもあるか
ノラの恋人がいい、と、どこかで読んだ
うん、わたしもそー感じた
すばらしき世界
待望の西川美和監督の新作!
公開されてこんなにすぐ観たのは初めてかも
あぁ、いっぱい書きたい事がある!
時々甘くて苦いのだ、うん
私たちは言い合いになったりすると
その後距離が空いてしまう
でもね、そんな時があっても
今日はたまたま、とか
やっぱり気になって連絡してしまう
・・・それってホンマの温度がある人間関係
ぶつかり合って、その後ぷっつり
ってのは
実は上っ面だけなのかもしれへんな
ぶつかり合った後、ここやねん
その後お互いに気まずさが漂いながら
やっぱり歩み寄る、これって人間の素晴らしいところ
役所さんの表情、表現が素晴らしかった
西川美和監督作品への出演、納得
笑って泣いた
タイトルがスクリーンに出たタイミングも
さすが西川美和監督やわ!と思った
本木君が出た「最後の言い訳」より
役所広司さんが出た今回は
さらに深みに迫った、リアルに
たくさんお客さんが入ってた
これはキャストの力だけではなく
「西川美和監督」なんやと思う
すばらしき世界 公式サイト(ポン・ジュノ監督から熱いコメント!)

原作「身分帳」


役所広司さんと言えば、コレ良かったなぁー

もっとノワールな役所さん こんないろんな顔を見せる
あらためて、すごい俳優さんやと思う
The PROME
プロムへ行きたい
うんとお洒落して
素敵な人に誘われたい
その根っこにあるホンマは
「ただ、あなたと踊りたい」なんやなぁ…
アメリカらしい華やかな映画だろうなーと
パーっと行こう!的な気分で観に行ったら
さすがNetflix 物語が重層的
すごい人がピンチの人を助けに行く
多分10年前ならそうなんやろけど
実に現代的で
出てる人が白人も黒人もアジア系も
背の低い男性も肩幅がっちりの女の子も
ふっくらした人も美しいとは言えない人も…
「La La LAND」のオープニングよりさらに多様な
本当に今、街を普通に歩いていそうな人たちが
いっぱい出ていた
そしてスターもふつーの人間の側面がちゃんとあって
ニコール・キッドマンなど
ずっとコーラス・ガールで主役になれない役
いや、しかし特筆すべきはメリル・ストリープやな
歌って踊って(歌、めっちゃうまいし)
年齢を感じさせない
ただのいい人じゃない本音もあるところが現代的
エマとアリッサ 高校生の2人が
とっても歌がうまくてフツーの女の子っぽくって
実は何度か泣けたのでした
私をくいとめて
最初に自慢しておくが
原作者の綿屋りささんは高校の後輩!
京大卒の有名人は多いけど
紫高出身は聞いたコトないぞ
ミツコは自己完結してたんやな
傷つくのが怖くて
のほほんと楽しそうなのも実は自分を守ってた
怒ったり叫んだり罵ったり
あれはミツコの頭の中でのコトなんやろな
いろんな経験の中で
「これを出しても見せてもいい」と学んでゆく
イタリアの部分はいらないかなー
それより今の会社での腹立ちやもやもやを
見せた方が良かったんちゃうかな
口に出さないと伝えないと
何も始まらないしわかり合えない
突然お泊りになったミツコの動揺は
そのまま伝えて良かったんや
多田くんは察してくれたけど
あの後の素直な気持ちの伝え合いは
2人にとって大切なスタートやね♡
おひとりさまのわたしが言うのも
どうなんやろ、やけど
人とぶつかり合うコトから何かが始まる
なんとなく上手くやれてるうちは
序章でしかないんやろな
みんなAを持っている、と思う
子どもの頃から手放せないぬいぐるみだったり
長い付き合いの友達だったり
そしていつか、ひとりで自分の足で
立つ歩く生きてゆく日が来る
ミツコのそんな時の物語やったんやろな
アーニャは、きっと来る
いい邦題やな
「Waiting for Anya」
戦争?ユダヤ人?ドイツ軍?
平和な村に住む憎しみなんて知らないジョー
声変わりが始まったぐらいの
まだ幼さを残した少年が変わってゆく
ベンジャミンとの出会い
幼なじみの障害があるユべールとの関わり
やたら近寄ってくるドイツ軍伍長
戦争に行き傷つき生還した父
ジョーは素直に周りの矛盾や悲しみや憎しみに触れて
ユダヤ人は悪い事をした人たちではないとわかる
真実を知って変化する父や母も
彼に確信を与えたと思うなー
血のつながりでなく
誰かを兄のように父のように時には恋人のように
感じたり心の支えにする事を
責められる訳がない
1月に観た「この世界に残されて」のように
ジャン・レノが骨があって恋をしている
イカすおじいちゃんを演じていた
ドイツ軍伍長役は韓国映画「タクシー運転手〜約束は海を越えて」
のあの外国人ジャーナリストを演じた人!
ベンジャミン、アーニャは来たよ
アートハウス入門で
ドキュメンタリーの魅力を教わった
「阿賀に生きる」はおすすめです
人とうまくやれない、人付き合いが苦手という人には
「すばらしき世界」
「私をくいとめて」
何かヒントになるかも
noteで「DJごっこ ネタばれ映画編」をやっています
大体15分までぐらいで1本の映画で
お喋りしています
今月だと
「すばらしき世界」
「わたしをくいとめて」を取り上げています
UPして数日は無料で公開
その後、有料にしています
1本の映画を観て
自分がどこに反応したのか
共感ポイント、あれはどうなの?とか
人の話を聞くと深まりますよー
わたしはいつも聞くラジオでDJさんの紹介
や町山智浩さんの「たまむすび 」(火曜日)で紹介
したものなんかを聞いて観るかどうかを決めたり
わたしはこう思ったなーを
いつも聞くラジオにメッセージしたり
ここに書いたりDJごっこしたりしています
そうするとね、何がいいかって
1本の映画がより深くより多面的に楽しめる、のです
良ければ、覗いてみて下さい
付け足し:わたしが西川美和監督に出会った映画
これをスクリーンで観て衝撃でした